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源氏物語の表現技法(本の画像)

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『源氏物語』の表現技法

―表現・語り・引用―
書名かな げんじものがたりのひょうげんぎほう  ―ひょうげん・かたり・いんよう―
著者(編者)名 早乙女利光 著
著者(編者)名かな さおとめとしみつ
ISBNコード 978-4-8386-0258-2
本体価格 9,500円
税込価格 10,450円
判型 A5判上製カバー装
頁数 312頁
刊行日 2012年2月24日
在庫 残部僅少
 本書は、Ⅰ『源氏物語』の表現、Ⅱ『源氏物語』の語り、Ⅲ『源氏物語』の引用、Ⅳ教材の表現に関する研究の四部構成となっている。
 本書は全体の序論として、各部で扱う研究テーマについて俯瞰的に論述し、新たなる教材論を構築する視座を追求することを目的としている。
 本書の内容は基本的に『源氏物語』を中心とした作品論であるが、最終的には教材論の構築を目的としており、その意味では前提としての作品研究である。
 私は教材論と作品論は独立した別個の場に位置するのではなく、相互に密接に関連するものであると認識している。
 研究者が作品研究を行い、実践者(授業担当者)が実践報告をするといった棲み分けは旧態依然としたものであるといって過言ではない。
 中学・高等学校の教員(実践者)は須く独自の作品研究を行い、教材論を構築する必要があるだろう。(序章より抜粋)
凡例
序章 『源氏物語』の表現・語り・引用
     ――教材論への視座――
  Ⅰ 『源氏物語』の表現
  Ⅱ 『源氏物語』の語り
  Ⅲ 『源氏物語』の引用
  Ⅳ 教材の表現に関する研究

Ⅰ 『源氏物語』の表現

第一章 桐壺巻の表現構造
     ――他者によって規定される光源氏――
  一 はじめに
  二 桐壺巻研究史
  三 桐壺帝のもくろみ
     ――政治的な立場をよむ――
  四 桐壺帝と左大臣の密約の可能性
  五 「いづれの御時にか」について
  六 桐壺巻の語り手について
  七 桐壺巻における他者の役割
  八 桐壺巻の時間
  九 結び
第二章 花宴巻の方法
     ――桜花宴と藤花宴――
  一 はじめに
  二 「花の宴」ではなく「桜の宴」の意味
  三 光源氏の春鶯囀と頭中将の柳花苑
  四 藤の花の宴
     ――桜二木と藤の花――
  五 結び 
第三章 浮舟造型の方法
     ――かきおこす女とゆだねる女――
  一 はじめに
  二 「いとをかしげなる女」の正体をめぐって
  三 「かきおこす」について
     ――身と心の乖離、御息所の場合――
  四 浮舟の独詠歌における「身」について
     ――出家以前と以後――
  五 六条御息所から浮舟へ
     ――身にしたがふは心――
第四章 手習巻におけるあま衣歌
     ――早蕨巻の宇治中君の詠歌をてがかりに――
  一 はじめに
  二 「あまごろも」
     ――宇治中君と尼君との贈答歌――
  三 浮舟歌と中君歌の共通性
     ――「袖ふれし」について――
  四 あま衣歌と前後の散文との関連
第五章 夕霧造型の方法
     ――「才」に規定される夕霧――
  一 はじめに
  二 光源氏の「教育論」の意図
  三 才と大和魂
  四 夕霧造型に見る才の役割
  五 光源氏の「聖代」の演出
  六 結び

Ⅱ 『源氏物語』の語り

第六章 末摘花巻の方法
     ――語りの構成意識――
  一 はじめに
  二 情報を制限される光源氏を表す語り
  三 末摘花に関する語り
  四 一人称的語りから三人称的語りへ
     ――語りの構成意識――
第七章 賢木巻の語りと表現
     ――表層と深層の二重構成――
  一 はじめに
  二 光源氏を取り巻く情勢の変化を表す出来事について
  三 描写される光源氏の私的行為について
  四 深層における犯し
     ――賢木巻の二重構成――

Ⅲ 『源氏物語』の引用 

第八章 桐壺巻「いとかく思う給へましかば」の一解釈
     ――『漢書』元后伝第六十八 司馬良娣伝の影響――
  一 はじめに
  二 「いとかく思う給へましかば」の解釈
  三 『漢書』元后伝第六十八 司馬良娣
  四 結び
     ――桐壺更衣の造型――
第九章 若紫巻における引用表現について
  一 はじめに
  二 引歌・和歌的表現に関して
     ――「くらぶの山」について――
  三 長夜の闇に迷う光源氏
  四 結び
第十章 明石巻の表現方法
     ――住吉神と桐壺院の機能――
  一 はじめに
  二 上巳祓の機能
     ――顕宗天皇朝の曲水宴をてがかりに――
  三 神意と「父霊」の働き
  四 境界としての明石
     ――取り込まれる光源氏――
  五 結び
第十一章 六条院造型の方法
     ――四方四季構造をてがかりに――
  一 はじめに
  二 異郷という空間
  三 『竹取物語』と異界
  四 四方四季構造
  五 結び
第十二章 藤裏葉巻の方法
     ――『伊勢物語』引用と変奏――
  一 はじめに
  二 光源氏、内大臣それぞれの思惑
  三 『伊勢物語』引用
     ――両家の確執を想起させるものとして――
  四 大宮の役割
     ――両家の架け橋として─――
  五 結び

Ⅳ 教材の表現に関する研究

第十三章 古典作品の教材化
     ――作品の表現をてがかりに――
  一 はじめに
  二 作品研究と教材研究
  三 教材重視か学習者重視か
  四 結び
第十四章 『源氏物語』桐壺巻「いとまばゆき人の御おぼえなり」の解釈
  一 はじめに
     ――解釈上の問題点――
  二 「まばゆし」の用例
  三 「人の+御おぼえ」の用例
  四 結び 
第十五章 『伊勢物語』二三段の表現
     ――「けこのうつはものにもりける」について――
  一 はじめに
  二 『伊勢物語』二三段研究史
     ――何がテーマとされてきたか――
  三 「けこのうつは物にもりつゝ」
     ――『唐物語』の例――
  四 自ら飯を盛る行為
     ――高安の女はみやびではないのか――
  五 「筒井筒」部分と高安の女の二首の歌
  六 結び 
第十六章 「家口」か「家子」か
     ――『伊勢物語』二三段の読解のために――
  一 はじめに
  二  『竹取物語』の用例
     ――「わろきけこにたまはせん」――
  三  史書・古記録の用例
     ――「家口」の意味――
  四 「けこのうつはものにもりける」の新たな解釈
第十七章 「浮舟物語」教材化の方法
     ――どのようなテーマを設定するか――
  一 はじめに
  二 瀬戸内寂聴作「髪」との比較対照の可能性
  三 入水、出家の比較を通して
     ――浮舟の精神的成長を考えさせる――
  四 結び
初出一覧
あとがき
人名・作品名・事項索引

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