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文学史としての源氏物語

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文学史としての源氏物語

書名かな ぶんがくしとしてのげんじものがたり
著者(編者)名 廣田 收 著
著者(編者)名かな ひろたおさむ
ISBNコード 978-4-8386-0276-6
本体価格 11,000円
税込価格 12,100円
判型 A5判上製カバー装
頁数 352頁
刊行日 2014年9月26日
在庫 在庫あり
紫式部という存在を睨み据えつつ…
 わが国文学研究のめざすところは、日本的な精神や心性mentalityの解明だけではないし、逆に普遍的な元型arche-typeの発見だけでもない。まさに『源氏物語』がどのような仕掛けや仕組みによって構築された本文であるかを明らかにすることを目的とする、と言挙げすればよいのではないか。
 その目的と方法こそ、『源氏物語』の本文そのものが「文学史としての『源氏物語』」であると捉えることに他ならない。
 ひとことで言えば、紫式部という存在を睨み据えつつ、古代の古代、古代の近代との併存する本文としての『源氏物語』を、基層と表層との重層性において捉えるという目論見である。(はしがきより)

はしがき
序章 日本物語文学史の方法論―風巻景次郎氏に導かれて―
  はじめに
  一 風巻景次郎と「文学の発生」
  二 風巻景次郎と「文芸の個性」
  三 風巻景次郎の『源氏物語』研究の自己撞着
  四 風巻景次郎の未生の可能性
  五 文芸批評の目的とは何か
  六 これからの課題
  おわりに
第一章    『源氏物語』の内裏と都
 第一節 大内裏と内裏の文学空間
  はじめに 古代天皇の都とは
  一 都の聖と俗
  二 天皇の呼称と内裏の構造
  三 天皇の統治と都の構造
  四 内裏の鬼
  五 文学空間としての平安京内裏
 第二節 花の景としての都―須磨・明石巻を中心に
  はじめに
  一 都の重層性
  二 都という語の対義語と同義語
  三 都の花。花の都
  四 花の景
  五 都であるふるさと
  六 花の景としての都
  まとめにかえて
 第三節 『源氏物語』「先帝四宮」考
  はじめに
  一 『源氏物語』における「先帝」
  二 光源氏が女三宮から得たもの―大嘗祭に寄せて―
  三 「先帝」の系譜を継ぐ「紫のゆかり」
  四 「先帝」と聖代
  まとめにかえて
第二章    『源氏物語』の叙述と様式
 第一節    『源氏物語』「垣間見」考
  はじめに
  一 「かいまみ」の用例から何が分かるのか
  二 空蝉巻の垣間見
  三 椎本巻の垣間見
  四 『伊勢物語』の垣間見
  五 物語に共有される垣間見の様式
  六 「かいまみ」の用例から何が分かるのか
  七 若紫巻の垣間見
  八 野分巻の垣間見
  九 嫁比べの様式
  まとめにかえて 垣間見の類型
 第二節    『源氏物語』「垣間見」追考
  はじめに
  一 『古事記』『日本書紀』における「見るなの禁詞」
  二 垣間見の語の表記
  三 『竹取物語』『伊勢物語』における「かいまみ」
  四 垣間見において何が神話的なのか
  五 姉妹に求愛する婚姻習俗の可能性
     ―宇治大君・中君に対する垣間見と比べて―
  六 『伊勢物語』初冠段本文の問題
     ―「女はらから」か「女はら」か―
  七 物語における垣間見の類型
  まとめにかえて
 第三節    『源氏物語』伝承と様式花散里巻をめぐって
  はじめに
  一 花散里巻の読まれ方
  二 『伊勢物語』の章段における対称法の様式
  三 花散里とはどのような、本文text
  四 花散里という場所
  五 物語におけるペルソナの転換
  まとめにかえて
 
第三章 『源氏物語』の表現と構造
 第一節 『源氏物語』の二重構造
      ―表層の犯しと深層の皇位継承争いと―
  はじめに
  一 『源氏物語』の仕掛けと仕組み
  二 罪と犯し
  三 古代における罪意識
  四 『源氏物語』の成立順序に関する先行研究
  五 若紫巻の抱える二重構造――短編性と長編性――
  まとめにかえて
 第二節『源氏物語』の場面構成と表現方法
     ―末摘花巻を例として―
  はじめに
  一 物語の場面と事項
  二 光源氏を連れ出す仕掛け
  三 季節と男女と和歌
  まとめにかえて
 第三節 『源氏物語』における風景史―景物から原風景へ―
  はじめに
  一 清少納言『枕草子』の風景
  二 日記文が悪における風景の胚胎
     ―前史としての『土佐日記』―
  三 『蜻蛉日記』の風景―風景の発見―
  四 『更級日記』の風景―自然を叙述しようとする試み―
  五 『源氏物語』の風景(一)―漢詩と和歌を導く景物―
  六 『源氏物語』の風景(二)―未生の風景―
  七 『源氏物語』の風景(三)―存在の原風景―
  まとめにかえて
終章 文学史としての『源氏物語』―浮舟の贖罪と救済―
  はじめに
  一 宇治の物語の前史
   1 光源氏物語とは何か
   2 光源氏物語の原構想
   3 光源氏の運命の逆転と住吉神
   4 若紫巻における物語の転換
  二 『源氏物語』にとって宇治とは何か
   1 都の隅っことしての宇治
   2 宇治橋と橋姫――姫君の古層
   3 宇治大君と薫との対偶
   4 物語に繰り返される「女は」論
   5 「身」と「心」との相克
      ―大君と浮舟 造型原理の逆転
  三 大君の拒否とは何か
  四 浮舟に負わされた課題
   1浮舟入水と贖罪
   2浮舟に託された紫式部の苦悩
   3浮舟の出家と救済―物語の行く方―
  まとめにかえて

初出一覧
あとがき
索引(人名・書名・主要語彙)


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