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研究書(語学系) 詳細
英学会話書の研究
書名かな | えいがくかいわしょのけんきゅう |
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著者(編者)名 | 常盤智子 著 |
著者(編者)名かな | ときわともこ |
ISBNコード | 978-4-8386-0286-5 |
本体価格 | 11,500円 |
税込価格 | 12,650円 |
判型 | A5判上製函入 |
頁数 | 330頁 |
刊行日 | 2015年6月20日 |
在庫 | 有り
※10冊以上購入ご希望の場合には別途ご連絡下さい。 |
日本英学史学会 平成27年度「豊田實賞」受賞
本書の目的と構成
当該期の国内における言語資料としては、人情本・滑稽本・新聞・政治小説など多様なものが存在しているが、政治的な問題とも関連して、幕末と明治をつなぐ資料は断片的にならざるを得ない憾みがある。
その点で、洋学資料とよばれる資料群は、これらの国内資料の偏在を補い、後述のように国内資料にはない観点を補い得る点で価値が高いとされてきた。
洋学資料の下位区分としては、蘭学資料、英学資料、仏学資料、独学資料、露学資料など、言語による区分が行われており、その中でも、英語関連の資料である英学資料は、質量ともにその中心的な資料群となっている。
例えばヘボン(James Curtis Hepburn, 1815-1911)の『和英語林集成』(Japanese and English Dictionary.)、サトウ(Ernest Mason Satow, 1843-1929)の『会話篇』(Kuaiwa Hen.)、チェンバレン(Basil Hall Chamberlain, 1850-1935)の『日本口語便覧』( A Handbook of Colloquial Japanese.)などは、当該期の日本語研究に欠かせないものとなっている。
しかし、よく知られ、よく使われる資料がある一方で、それ以外の資料については、日本語資料としての性質や活用方法はほとんど知られていないという現状があることも事実である。
この状況を前向きに捉えれば、すでに近代語の先行研究の中で明らかになっている知見を援用し、それをもとに基礎的な研究を行う余地と価値が十分にあるともいえる。
本書はこれらの現状を承け、英学資料の下位区分の一つである英学会話書の研究を行い、当時の日本語の一端を明らかにすることを目的とする。
第1部では、明治20年までにおける英学会話書を概観し、第2部では外国人の著作である英学会話書を中心とした個別の研究を示す。
【目次】
序
1.本書の目的と構成
2.英学資料における英学会話書
3.日本語史研究からみた特徴
第1部 英学会話書概観
第1章 英学会話書概観
序
1.本書の目的と構成
2.英学資料における英学会話書
3.日本語史研究からみた特徴
第1部 英学会話書概観
第1章 英学会話書概観
1.対象とする次期
2.資料収集
3.資料一覧
第2章 英学会話書一覧の分析Ⅰ
1.成立時期から
2.書名から
3.日本語学習書か外国語学習書か
第3章 英学会話書一覧の分析Ⅱ
1.外国語会話書の影響
2.外国語会話書の内容
3.調査結果
4.外国語会話書からの編集過程
第4章 研究上の課題
1.分類
2.書名
3.著訳編者
第2部 英学会話書の資料と研究
第2部 英学会話書の資料と研究
第1章
第1節 J.リギンズ著『英和日用句集』の成立過程
――『南山俗語考』との関連を中心に――
第1節 J.リギンズ著『英和日用句集』の成立過程
――『南山俗語考』との関連を中心に――
1.はじめに
2.『英和日用句集』について
3.『英和日用句集』の序文の記述について
4.『南山俗語考』について
5.二つの資料の外的関連性
6.二つの資料の内的関連性
7.おわりに
第2節 英学会話書『英和日用句集』の人称代名詞
――『南山俗語考』・『英和日用句集(初版)』
・『同(三版)』の比較から――
――『南山俗語考』・『英和日用句集(初版)』
・『同(三版)』の比較から――
1.はじめに
2.人称代名詞の研究方法
3.先行研究
4.結果一覧
5.おわりに
第3節 J.リギンズ著『英和日用句集』から『英和通弁手引草』へ
1.はじめに
2.『英和通弁手引草』について
3.一致の状況
4.訳文の性質
5.おわりに
第2章
第1節 J.F.ラウダ―著『日英会話書』の日本語
――成立・構成・表記について――
第1節 J.F.ラウダ―著『日英会話書』の日本語
――成立・構成・表記について――
1.はじめに
2.序文から
3.成立について
4.構成について
5.日本語の特徴
第2節 J.F.ラウダ―著『日英会話書』の日本語
――人称代名詞から――
――人称代名詞から――
1.はじめに
2.『日英会話書』の人称代名詞
3.人称代名詞からわかること
4.おわりに
第3節 J.F.ラウダ―著『日英会話書』語彙集について
1.はじめに
2.語彙集の記述方法
3.会話部と語彙集の関係
4.訳語の性質
5.文法や表現に関する点から
6.おわりに
第3章
第1節 E.M.サトウ著『会話篇』に見られる音節「エ」の表記原理
――表記と音訓・音価の関わりをめぐって――
第1節 E.M.サトウ著『会話篇』に見られる音節「エ」の表記原理
――表記と音訓・音価の関わりをめぐって――
1.はじめに
2.サトウの表記意識
3.調査資料と調査方法
4.調査結果
5.調査結果の解釈
6.おわりに
第2節 E.M.サトウの著作に見られる音節「エ」の表記原理の変化
――複数の著作からの考察――
――複数の著作からの考察――
1.はじめに
2.調査方法
3.比較資料
4.各資料の検討
5.おわりに
第3節 表記と音声の乖離
――英学資料の音節「エ」の音価を考える――
――英学資料の音節「エ」の音価を考える――
1.はじめに
2.英学資料の「エ」の表記い
3.表記実態の概観
4.日本語の表記に対する当時の議論
5.明治期以降の音声資料から
6.おわりに
第4節 E.M.サトウ著『会話篇』の書誌に関する追考
1.はじめに
2.SOAS図書館所蔵本について
3.SOAS本がサトウの旧蔵書である根拠
4.SOAS本の書き込みと観光の順序の推定
5.SOAS本の書き込みの方法からわかること
6.おわりに
第5節 ケンブリッジ大学図書館蔵E.Mサトウ自筆資料について
――『日本語会話練習帖』と『会話篇』との比較および翻字――
――『日本語会話練習帖』と『会話篇』との比較および翻字――
1.はじめに
2.自筆資料の概略
3.『日本語会話練習帖』について
4.比較資料『会話篇』について
5.『会話篇』に関する例文について
6.「字音形容詞」に関する例文について
7.おわりに
付:『日本語会話練習帖』翻字
結
1.本書で論じたこと
2.英学会話書研究の今後
後記
参考文献
参考文献
使用テキスト
索引