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研究書(文学系) 詳細

9784838607013

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源氏物語の記憶

―時代との交差
書名かな げんじものがたりのきおく―じだいとのこうさ
著者(編者)名 久下裕利 著
著者(編者)名かな くげひろとし
ISBNコード 978-4-8386-0701-3
本体価格 14,500円
税込価格 15,950円
判型 A5判上製カバー装
頁数 624頁
刊行日 2017年5月19日
在庫 在庫あり
 道長から頼通の時代へと引き継がれた政治・文化はサロン文芸を支える女房たちを和歌から物語へと躍動させた。時代背景は“いま”となり物語に蘇る。本書は源氏物語以後を時代の中で浮き彫りにした。
 編著から単著まで、精力的に出版活動を行い、真摯に研究と向き合ってきた著者の、過去12年(平成17~29年)の論文をまとめた研究論文集。

【目次】
Ⅰ 『源氏物語』宇治十帖の記憶
第一章 宇治十帖の表現位相――作者の時代との交差――
 一 はじめに
 二 『紫式部日記』との対置
 三 明石中宮方と彰子中宮方の上﨟女房
 四 明石中宮の決断
第二章 匂宮三帖と宇治十帖
     ――回帰する〈引用〉・継承する〈引用〉――
 一 はじめに―─宇治十帖の始発
 二 竹河巻の蔵人少将――密通不首尾の引用機構
 三 宇治の大君中の君形象の方法
 四 薫の想い─幻想の恋着
 五 方法としての浮舟物語
 六 おわりに―─円環の終結
第三章 宇治十帖の執筆契機――繰り返される意図――
 一 はじめに
 二 『紫式部日記』寛弘六年の記事欠脱
 三 末摘花巻の位相
 四 宇治十帖の位相
 五 おわりに
第四章 夕霧巻と宇治十帖――落葉の宮獲得の要因――
 一 はじめに
 二 夕霧の恋/薫の恋─心象風景論
 三 柏木/八の宮─遺言論
 四 三条宮/六条院─居住論
第五章 夕霧の子息たち――姿を消した蔵人少将――
 一 はじめに
 二 椎本巻の官名列挙
 三 夕霧巻々末との対照

Ⅱ 後期物語の記憶
第一章 後期物語創作の基点――紫式部のメッセージ――
 一 はじめに
 二 『更級日記』の「荻の葉」と「笹原」
 三 紫式部のメッセージ
 四 『花桜折る中将』の「あたら夜の」歌
第二章 挑発する『寝覚』『巣守』の古筆資料
     ――絡み合う物語――
 一 はじめに
 二 『寝覚』中間欠巻部
    ─広沢での逢瀬と別れ
 三 『寝覚』末尾欠巻部
    ─「しらかはの院」での幽閉と脱出
 四 『巣守』の「しらかはの院」
 五 おわりに
第三章 『狭衣物語』の位相
     ─物語と史実と─
 一 はじめに
 二 継子譚としての飛鳥井君物語
 三 今姫君入内騒動と養女譚
 四 女二宮密通事件から王権譚へ
第四章 主人公となった「少将」
     古本『住吉』の改作は果たして一条朝初期か
 一 はじめに
 二 稲賀説の行方
 三 広本系『住吉』の「蔵人少将」
 四 古本『住吉』から『源氏物語』へ
 五 古本『住吉』と『狭衣物語』
 六 小一条院詠の存在
 七 「四位少将」は伊周か
第五章 物語の事実性・事実の物語性
     ――道雅・定頼恋愛綺譚――
 一 はじめに
 二 道雅の恋
 三 出奔する女
 四 定頼の恋
 五 おわりに

Ⅲ 道長・頼通時代の記憶
第一章 生き残った『枕草子』
     ――大いなる序章――
 一 はじめに
 二 源高明の子、俊賢と経房
 三 高明の孫、隆国
第二章 藤原摂関家の家族意識
     ――上東門院彰子の場合――
 一 はじめに
 二 中宮彰子の猶子敦康親王
 三 後一条・後朱雀両天皇の母后彰子
 四 頼通・教通兄弟の確執と姉女院彰子
 五 おわりに
第三章 その後の道綱
 一 はじめに
 二 左近衛少将から右近衛大将へ
 三 異母弟道長との関係
第四章 大納言道綱女豊子について
     ――『紫式部日記』成立裏面史――
 一 はじめに
 二 『紫式部日記』のもう一つの意図
 三 宰相の君豊子と紫式部
 四 敦成・敦良両親王の乳母
 五 東三条院詮子から道長正室倫子へ
 六 おわりに
第五章 『栄花物語』の記憶
     ――三条天皇の時代を中心として――
 一 はじめに
 二 妍子と娍子の立后
 三 禎子内親王誕生
 四 三条天皇退位
第六章 道長・頼通時代の受領たち
     ――近江守任用――
 一 はじめに
 二 摂政藤原兼家と左大臣源雅信
 三 家司受領源高雅と藤原惟憲
第七章 大宰大弐・権帥について
 一 はじめに
 二 物語の中の大弐・権帥
 三 大弐藤原有国
 四 権帥藤原隆家
 五 大弐源資通
第八章 王朝歌人と陸奥守
 一 はじめに
 二 陸奥守源信明と中務
 三 陸奥守藤原実方と清少納言
 四 陸奥守橘為仲と四条宮主殿
 五 おわりに
[付載] 頼宗のいる風景――『小右記の一場面』――

初出一覧
あとがき


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