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詩人 郭沫若と日本
書名かな | しじんかくまつじゃくとにほん |
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著者(編者)名 | 藤田梨那 著 |
著者(編者)名かな | ふじたりな |
ISBNコード | 978-4-8386-0705-1 |
本体価格 | 3,900円 |
税込価格 | 4,290円 |
判型 | A5判上製カバー装 |
頁数 | 336頁 |
刊行日 | 2017年9月29日 |
在庫 | 有り |
郭沫若と日本との20年におよぶ関わりを考究する
郭沫若に関する研究は、中国においてすでに半世紀にわたり続けられてきた。
これまでの研究は、基本的に愛国主義、五四精神、マルクス主義といった思想理論に基づいている傾向が強く、資料、史実の調査、文学理論に基づくテクストの評価は必ずしも十分とは言えない。
特に、郭沫若が日本と関わった二つの時期に関する研究は、まだ多くの空白を残している。
これまでの研究は、基本的に愛国主義、五四精神、マルクス主義といった思想理論に基づいている傾向が強く、資料、史実の調査、文学理論に基づくテクストの評価は必ずしも十分とは言えない。
特に、郭沫若が日本と関わった二つの時期に関する研究は、まだ多くの空白を残している。
本書『詩人郭沫若と日本』では、彼の留学と亡命の二つの時期に焦点を当て、彼と近代日本との精神面での交流を明らかにしていくことを目的とする。
はじめに
第一章 少年時代
第一節 豹子投胎
第二節 郭家の人々
第三節 大家族子弟の教育
第四節 山水秀美の故郷
第五節 古典への目覚め
第六節 苦悶の時代
第七節 旧式な結婚
第二章 日本留学時代
第一節 異国での新生活
第二節 日本の自然を満喫して
第三節 佐藤富子との出会い
第四節 医学と文学
第三章 古典文学の素養と古典詩創作
第一節 少年期、青年期の漢詩
第二節 漢詩に見る風景
1 故郷時代の漢詩
2 日本留学期の漢詩
3 古詩の中の風景
第四章 『女神』の世界
第一節 郭沫若新体詩創作の歴史的意義
1 「風景」発見の瞬間
2 登山体験
3 「風景」と「内面」
4 「言文一致」への指向
5 新詩実践
第二節 「電火光中」と西洋絵画の関連
1 懐古─貝加尓湖畔之蘇子卿─素材と主題の関係
2 ミレーの絵画との関係
3 観画─Millet的「牧羊少女」─主題変更の意味
4 絵画、風景と詩歌の関連
5 讃像─Beethoven的肖像
第三節 「天狗」の表現世界
1 天狗とは
2 小宇宙と大宇宙の融合
3 解剖精神の止揚
第四節 佚詩「狼群中一隻白羊」に見る民族精神
1 「狼群中一隻白羊」序に見られる問題点
2 二つのキーワード
3 白のイメージ
第五節 反植民統治の詩歌「勝利的死」
1 創作の背景と媒体資料の処理
2 詩の構造の多重性と西洋詩歌の受容
3 東洋と西洋の観照
第五章 小説創作の試み
第一節 「牧羊哀話」の創作背景とモチーフ
1 二つの史実
2 悲恋と反日のモチーフ
3 六月十一日という日
第二節 「残春」に見られる医学と文学の問題
1 近代社会における結核の流行
2 隠喩としての結核
3 「残春」における結核の意味
第六章 日本へ亡命
第一節 上海での籠城生活
第二節 北伐戦争への参加
第三節 東海を跨って
第四節 日本での生活
第五節 中国古代史研究
第七章 亡命期の作品
第一節 身辺小説「鷄之帰去来」
1 身辺小説の体裁
2 朝鮮人問題と関東大震災
3 朝鮮人労働者の状況
第二節 日本の雑誌社との交流
1 郭沫若と白揚社
2 郭沫若と雑誌「同仁」
3 郭沫若と「日本評論」
第三節 隋代の音楽家萬宝常研究
1 中国古文字研究
2 林謙三との交流
3 萬宝常への注目
第八章 日本─第二の故郷
第一節 恋人に捧げる詩
第二節 文明の監獄
第三節 戦争に引き裂かれた家族
第四節 苦難の聖母
主要参考文献
あとがき