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研究書(文学系) 詳細
古代物語としての源氏物語
書名かな | こだいものがたりとしてのげんじものがたり |
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著者(編者)名 | 廣田 收 著 |
著者(編者)名かな | ひろた おさむ |
ISBNコード | 978-4-8386-0712-9 |
本体価格 | 11,000円 |
税込価格 | 12,100円 |
判型 | A5判上製カバー装 |
頁数 | 368頁 |
刊行日 | 2018年8月25日 |
在庫 | 在庫あり |
『源氏物語』を「古代文学として読む」という立場
なぜなら、私的な読みに思わず知らず現代的もしくは近代的な基準による解釈が紛れ込む可能性があるからである。 「研究として『源氏物語』をどのように読むのか」というとき、こう読まなければならないという決まった読み方が最初からあるはずもないが、ただ単に恣意的な読みを披露し、散漫な感想を述べるだけでは『源氏物語』の研究としての読みに共感は得られないであろう。
『源氏物語』が「読解至上主義」に陥ることを非難する向きもあるが、その危険性を回避し、私的な読みの暴走を抑制できるのは、注釈と隣接科学の成果を参照することであることは言うを俟たない。
ここに私の立場表明がある。つまり『源氏物語』を「古代物語として読む」という立場である。
(本書「まえがき」より抜粋)
まえがき
第一章 『源氏物語』は誰のために書かれたか
―中宮学に向けて―
―中宮学に向けて―
はじめに
一 『源氏物語』が制作された理由とは何か
1 『紫式部日記』から分かること
2 玉上琢彌氏のいわゆる物語音読論をめぐって
二 中宮とは何か
1 歴史の中の中宮
2 『源氏物語』の中の「后」と「中宮」
三 『源氏物語』には何が描かれているか
1 復讐の物語としての光源氏物語、そしてさらにその先へ
2 物語の仕掛けとしての后腹
まとめにかえて
―『源氏物語』によって紫式部は中宮に何を「教育」したのか
―『源氏物語』によって紫式部は中宮に何を「教育」したのか
第二章 『源氏物語』の重層性と物語の方法
第一節 『源氏物語』の方法的特質
―『河海抄』「准拠」を手がかりに―
―『河海抄』「准拠」を手がかりに―
はじめに
一 『河海抄』における準拠の研究史
二 『河海抄』「料簡」から見る「準拠」
三 『河海抄』の用例からみる「准拠」
四 『河海抄』における継母を犯す物語の準拠
まとめにかえて
第二節 『源氏物語』重層する話型
はじめに
一 話型からみる『源氏物語』の三分割
二 大きな話型と小さな話型
三 例えば、玉鬘物語の話型とは
四 主人公と物語のモデルとは何か
まとめにかえて
第三節 『源氏物語』の作られ方―場面と和歌と人物配置と―
一 『源氏物語』研究の陥穽
二 最終形としての本文
三 源氏物語の新しい読み方はあるか
四 物語は小説ではない
五 和歌はひとつの挨拶である
六 歌の場と様式
七 歌の場とは何か
八 褻の和歌の儀礼性
まとめにかえて
第三章 『源氏物語』の枠組みと介入する作者
第一節 『源氏物語』における人物造型の枠組み
―若菜巻以降の光源氏像をめぐって―
―若菜巻以降の光源氏像をめぐって―
はじめに
一 若菜巻に関する論点
二 怒りを発しない光源氏
三 因果応報に対する光源氏の認識と自己肯定
四 『古事記』と『源氏物語』との構造的類比
五 『古事記』における天照大神と須佐之男
六 作者紫式部の個性と光源氏の思考回路
七 日記に記されている紫式部の苦悩とは何か
ささやかな問題提起にかえて
第二節 蜻蛉巻 式部卿宮の姫君の出仕
はじめに
一 式部卿宮の姫君に関する研究史
二 蜻蛉巻の構成
三 蜻蛉巻の「ゆかり」
四 物語の中の「式部卿宮」
まとめにかえて―蜻蛉巻における宮の君の出仕の意味―
第四章 『源氏物語』表現の独自性
第一節 『源氏物語』「物の怪」考
―六条御息所を中心に―
―六条御息所を中心に―
はじめに
一 『源氏物語』「物の怪」に関する研究史
1 主として多屋頼俊・西郷信綱・藤本勝義 三氏の研究をめぐって
2 『源氏物語』の「物の怪」と『紫式部集』の「物の怪」とは同じか
3 『源氏物語』における「物の怪」研究の論点
4 「物の怪」に関する研究史の「ひとまずのまとめ」
二 場面ごとにみる表現分析の問題
1 場面Ⅰ(夕顔巻)
2 場面Ⅱ(葵巻)
3 場面Ⅲ(葵巻)
4 場面Ⅳ(若菜下巻)
5 場面Ⅴ(柏木巻)
6 場面Ⅵ(柏木巻)
まとめにかえて
第二節 『源氏物語』存在の根拠を問う和歌と人物の系譜
はじめに
一 「私は誰なのか」―薫の和歌「おぼつかな」の解釈―
二 「私は誰なのか」という問いと「あれが私だ」という答えと
三 「舟」の表象―「私は舟である」―
四 「私は誰なのか」から「私はどこへ行くのか」へ
―紫上から浮舟へ―
―紫上から浮舟へ―
五 宇治大君の和歌と表象―「私は水鳥である」―
六 「私はどこへ行くのか」―浮舟の自己認識―
まとめにかえて
結章 『源氏物語』「物語」考
はじめに
一 「物語」の語の分類案
Ⅰ 作品としての物語、読み聞かせする物語
Ⅱ(a) 儀式・行事、故事先例に関する言談
/政治向きの言談/教育、諸道に関する言談
Ⅱ(b) 霊験、説法
Ⅱ(c) 遺言
Ⅲ(a) 座談、夜伽話
Ⅲ(b) 諸国の伝説/体験談、見聞談
Ⅳ 世間話、とりとめもない話
Ⅴ 情交、寝物語
二 他の物語における「物語」の事例
まとめにかえて
付論 『今昔物語集』「物語」考
はじめに
一 「物語」とは何かという問い
二 『今昔物語集』における「物語」の語の特徴的事例
Ⅰ 作品としての物語、読み聞かせする物語
Ⅱ(a) 儀式・行事、故事先例に関する言談/政治向き
の言談/教育、諸道の言談
の言談/教育、諸道の言談
Ⅱ(b) 霊験、説法
Ⅱ(c) 遺言
Ⅲ(a) 座談、夜伽話
Ⅲ(b) 諸国の伝説/体験談、見聞談
Ⅳ 世間話、とりとめもない話
Ⅴ 情交、寝物語
まとめにかえて
初出一覧
あとがき
索引(人名・書名・主要語彙)