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研究書(文学系) 詳細
仮名文テクストとしての伊勢物語
書名かな | かなぶんてくすととしてのいせものがたり |
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著者(編者)名 | 近藤 さやか 著 |
著者(編者)名かな | こんどうさやか |
ISBNコード | 978-4-8386-0715-0 |
本体価格 | 8,500円 |
税込価格 | 9,350円 |
判型 | A5判上製カバー装 |
頁数 | 250頁 |
刊行日 | 2018年12月10日 |
在庫 | 有り |
仮名の可能性と〈音〉への関心
仮名は文字それ自体に意味が孕まれている漢字と異なって、〈音〉しか表現しない。仮名によって、和歌は一つの言葉で同じ〈音〉を持つ別の言葉を掛け合わせ、一文字ずつ隠し詠み込むような技法が可能になった。
仮名で書かれること、つまり、〈音〉を表記することによって、音声それ自体よりも言葉の多義性が表現できるようになった。こうした仮名の可能性を和歌という韻文のみならず、散文においても試している作品が『伊勢物語』ではないだろうか。
本書では『伊勢物語』の仮名に注目した意識と表現を考察し、有名章段─二条の后章段・東下り章段・斎宮章段・惟喬親王章段─だけではなく、これらの章段を中心に作品全体を通して読解できることを論じた。
『伊勢物語』は和歌と仮名の可能性を広げた作品だという、文学史上の位置付けを示すことができれば幸いである。(「まえがき」より抜粋)
まえがき 仮名の可能性と〈音〉への関心
凡 例
第一部
第一章 第九段「みやことり」
はじめに
一 東下りの理由
二 東下りの旅程
三 「みやこどり」の正体
四 「名に負ふ」ということ
おわりに
第二章 第十三段「むさしあふみ」
はじめに
一 東下りの核・第九段
二 東下りの先の東国
三 京なる女
おわりに
第三章 第二十三段「けこ」
はじめに
一 「笥子」説
二 「家子」説
三 『大和物語』の場合
四 第二十三段の和歌
おわりに
第四章 伊勢物語の「音楽」
はじめに
一 『伊勢物語』に描かれる音楽・楽器
二 描かれない楽器「琴」 ─第二十三段の場合─
三 聴覚効果としての和歌
四 『源氏物語』に描かれた楽器「琴」
─第四十九段の場合─
五 『うつほ物語』における和歌と音楽
おわりに
第五章 第四十五段「蛍」
はじめに
一 「蛍」の表象
二 「雁」の表象
三 二首並列の和歌
四 影響関係
五 「ひぐらし」の存在
おわりに
第二部
第六章 惟喬親王と紀有常 ─「友」と「供」─
はじめに
一 紀有常と「ともだち」 ─第十六段・第三十八段における関係─
二 惟喬親王と紀有常と「男」 ─第八十二段における関係─
三 「狩り」と「やまと歌」
四 「友」と「供」
五 男性間における「友」
六 政治的関係に対する精神的関係「とも」
おわりに
第七章 崇子と多賀幾子 ─二人の「たかいこ」─
はじめに
一 崇子内親王
二 女御多賀幾子
三 同音の名前
四 第三十九段たかい子登場前後
五 第七十七・七十八段多賀幾子登場前後
六 「たかいこ」の死
おわりに
第八章 『伊勢物語』の短章段
はじめに
一 短章段のグループ
短章段表 凡例
短章段表
二 「色好みなる女」「色好みなりける女」
三 「つれなき人」
四 斎宮章段の構成
五 「色好みなる女」「つれなき人」、二条の后と斎宮
おわりに
補論 『伊勢物語』と業平伝説
はじめに
一 業平伝説研究の現在 ─〈東下り〉関係─
二 業平伝説研究の現在 ─高安関係─
三 愛知県知立市における業平伝説
おわりに
初出一覧
あとがき