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研究書(文学系) 詳細

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源氏物語の表現と絵画的展開

―夕霧を中心に
書名かな げんじものがたりのひょうげんとかいがてきてんかい ゆうぎりをちゅうしんに
著者(編者)名 青木慎一 著
著者(編者)名かな あおきしんいち
ISBNコード 978-4-8386-0720-4
本体価格 12,000円
税込価格 13,200円
判型 A5判上製カバー装
頁数 378頁
刊行日 2019年5月17日
在庫 品切れ中

夕霧の童殿上から「源氏絵」解釈の世界へ

子どもとその成長をめぐる表現を夕霧を中心にして探る。子どもの詠む和歌、幼少期の通過儀礼といった微視的な『源氏物語』論は、光源氏の家や人物をめぐる虚構の物語生成論へと展開する。夕霧の物語をめぐる物語テクストと「源氏絵」との密接な関係が、物語の視覚化による巨視的な『源氏物語』享受史と解釈学に通じている。『源氏物語』テクストと「源氏絵」とが交響する新たな研究の書。

《名古屋大学名誉教授 高橋 亨》

    序

第一部 夕霧と子どもをめぐる表現─物語世界と史的文脈の関係を軸として
 第一章 『源氏物語』の童殿上
  第一節 童殿上の意味するもの
   Ⅰ はじめに
   Ⅱ 童殿上の概要
   Ⅲ 第一部の童殿上
   Ⅳ 第二部の童殿上
   Ⅴ 第三部の童殿上
   Ⅵ まとめ
  第二節 夕霧と童殿上─「澪標」巻の「内裏、春宮の殿上」から─
   Ⅰ はじめに
   Ⅱ 古記録にみる童殿上
   Ⅲ 『源氏物語』における童殿上
   Ⅳ 夕霧の童殿上と頼通の童殿上
   Ⅴ 夕霧の童殿上の意味
   Ⅵ 「四位になしてん」との関連から
   Ⅶ まとめ
  第三節 夕霧親子の童殿上─年齢の表現方法において─
   Ⅰ はじめに
   Ⅱ 物語において年齢表記を伴う例
   Ⅲ 史実における童殿上の年齢
   Ⅳ 物語において語られる童殿上の年齢
   Ⅴ 物語で推測可能な童殿上の年齢
   Ⅵ 童殿上の年齢の偏り
   Ⅶ 夕霧と子どもたちとの差異
   Ⅷ まとめ
  第四節 弁少将親子の童殿上─史的意義からの逸脱に関して─
   Ⅰ はじめに
   Ⅱ 弁少将の童殿上
   Ⅲ 弁少将嫡男の童殿上
   Ⅳ 童殿上が示す夕霧家と弁少将家の関係
   Ⅴ まとめ

 第二章 子どもの表現と和歌
  第一節 夕霧の「生ひ先」─成長をめぐる表現方法について─
   Ⅰ はじめに
   Ⅱ 「少女」巻における「生ひ先」と夕霧
   Ⅲ 「若菜上」巻における「生ひ先」と夕霧
   Ⅳ まとめ
  第二節 明石姫君の「生ひ先」─「松風」・「薄雲」巻に着目して─
   Ⅰ はじめに
   Ⅱ 明石姫君の「生ひ先」の用例
   Ⅲ 明石姫君の生い立ち
   Ⅳ 姫君の成長と「生ひ先」への思惑
   Ⅴ 明石姫君をめぐる後宮戦略
   Ⅵ まとめ
  第三節 子どもの和歌─詠歌と草子地が語られる意味─
   Ⅰ はじめに
   Ⅱ 若紫・明石姫君・真木柱の和歌
   Ⅲ 鬚黒家の女童と大君・中君の和歌
   Ⅳ 子どもの和歌の特徴
   Ⅴ 子どもの和歌への草子地
   Ⅵ まとめ

 第三章 結婚と儀礼─夕霧の婚儀を中心に
  第一節 夕霧の通過儀礼─物語の視点と容姿の描写から─
   Ⅰ はじめに
   Ⅱ 産養
   Ⅲ 幼少期の夕霧
   Ⅳ 元服
   Ⅴ 結婚
   Ⅵ まとめ
  第二節 『源氏物語』の結婚と儀礼─古注釈を手がかりに─
   Ⅰ はじめに
   Ⅱ 光源氏・夕霧の通過儀礼と古注釈
   Ⅲ 雲居雁との結婚
   Ⅳ 「藤裏葉」巻の古注釈
   Ⅴ まとめ

第二部 『源氏物語』の絵画的展開と物語解釈─夕霧そして光源氏の造型から
 第四章 源氏絵の図様伝統にみる夕霧像
  第一節 徳川・五島本「源氏物語絵巻」における夕霧─柏木~御法段の情景
      選択より─
   Ⅰ はじめに
   Ⅱ 「源氏物語絵巻」の夕霧像
   Ⅲ 横笛段─子を「抱かない」夕霧
   Ⅳ 柏木第二段─薫出生の秘密へ近づく
   Ⅴ 鈴虫第二段─罪の系譜を暴く夕霧
   Ⅵ 夕霧段─源氏・紫の上と対峙する夕霧・雲居雁
   Ⅶ まとめ
  第二節 『源氏物語』の抄出本文─「伏見天皇宸翰源氏物語抜書」を始発と
      して─
   Ⅰ はじめに
   Ⅱ 『源氏物語』本文の研究史
   Ⅲ 国立歴史民俗博物館蔵「伏見天皇宸翰源氏物語抜書」の本文
   Ⅳ 歴博本以降の「源氏物語抜書」
   Ⅴ まとめ
  第三節 「夕霧」巻の絵画化─小野の里と鹿の情景をめぐって─
   Ⅰ はじめに
   Ⅱ 「夕霧」巻で絵画化される場面
   Ⅲ 小野の里の「鹿」と夕霧の風景
   Ⅳ 小野の里の絵画化─鹿の描写と詞書の有無から
   Ⅴ まとめ

 第五章 近世の源氏絵における物語本文と絵画化
  第一節 「源氏物語絵巻 桐壺」(幻の「源氏物語絵巻」)について
   Ⅰ はじめに
   Ⅱ 「源氏物語絵巻 桐壺」の概要と「桐壺」巻の場面選択
   Ⅲ 「源氏物語絵巻 桐壺」独自の場面選択
   Ⅳ 「源氏物語絵巻 桐壺」の場面選択と詞書・物語本文
   Ⅴ おわりに
  第二節 スペンサー・コレクション蔵「奈良絵本源氏物語」の挿絵と物語解釈
   Ⅰ はじめに
   Ⅱ スペンサー本の概要
   Ⅲ スペンサー本の挿絵情報
   Ⅳ スペンサー本の挿絵の場面選択─ⅰ
   Ⅴ スペンサー本の挿絵の場面選択─ⅱ
   Ⅵ スペンサー本の挿絵の場面選択─ⅲ
   Ⅶ まとめ
  第三節 「鈴虫」巻における光源氏と女三宮─視覚化される関係性をめぐって─
   Ⅰ はじめに
   Ⅱ 豪華源氏絵の情景選択
   Ⅲ 版本挿絵の情景選択
   Ⅳ まとめ

 付章
  第一節 幻の「源氏物語絵巻」本文考
   Ⅰ はじめに
   Ⅱ スペンサー・コレクション蔵「源氏物語絵巻」帚木の本文異同
   Ⅲ 石山寺蔵「源氏物語絵巻」末摘花上の本文異同
   Ⅳ スペンサー・コレクション蔵「源氏物語絵巻」末摘花中の本文異同
   Ⅴ スペンサー・コレクション蔵「源氏物語絵巻」末摘花下の本文異同
   Ⅵ 「源氏物語絵巻」賢木断簡の詞書と本文異同
   Ⅶ まとめ
 結
   初出一覧/あとがき/索引/中国語要旨(中文摘要)/英語要旨(Abstract


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