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研究書(文学系) 詳細
後拾遺和歌集 新風と「をかしき風躰」
書名かな | ごしゅういわかしゅう しんぷうとをかしきふうてい |
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著者(編者)名 | 実川恵子 著 |
著者(編者)名かな | じつかわけいこ |
ISBNコード | 978-4-8386-0728-0 |
本体価格 | 8,800円 |
税込価格 | 9,680円 |
判型 | A5判上製カバー装 |
頁数 | 228頁 |
刊行日 | 2020年3月16日 |
在庫 | 有り |
白河天皇の勅命で編纂された『後拾遺和歌集』の「雑部」は、『古今和歌集』を基盤としながらも、撰者通俊の庶幾する新風が示される。それらの詠歌に触れ、藤原俊成が『古来風躰抄』で「ひとへにをかしき風躰」ととらえた新奇な発想と表現に着目し、その独自な編纂・構造の意図を探る。また、和泉式部らの女性歌人増大の意味についても考察し、平安後期和歌史の終着点たる『新古今和歌集』に向かう端緒を開く勅撰集として注目してきた著者積年の力作。
目 次
凡 例
序 章 『後拾遺和歌集』雑歌論
─「雑三」の構造と特性─
一 「雑歌」という分類意識
二 「雑三」の和歌世界
三 『古今集』と『後拾遺集』の「雑歌」
四 『後拾遺集』「雑三」の特性
第一章 部立と構成
第一節 『後拾遺和歌集』「雑四」の構造と特性
一 「雑四」の構成
二 巻頭の松歌群
三 二十三首の名所歌
四 巻末の日常消息的歌群
五 雑歌の構成と藤原通俊の和歌観
第二節 『後拾遺和歌集』「恋四」の詞書をめぐる問題
一 「恋四」の詞書表記
二 詞書記述内容の分類
三 「恋四」の詞書記述の性格
四 詞書中の固有名詞記載
五 「恋四」の詞書記述の特色
第三節 『後拾遺和歌集』誹諧歌ノート(1)
一 『後拾遺集』の誹諧歌
二 『後拾遺集』誹諧歌の意義と特性
第四節 『後拾遺和歌集』俳諧歌ノート(2)
─構成と歌人に注目して─
一 『後拾遺集』誹諧歌の質的変貌
二 撰者の誹諧歌編纂意識
三 恋歌的な誹諧歌
四 『後拾遺集』誹諧歌歌人とその構成
第二章 歌人論
第一節 『後拾遺和歌集』女性歌人増大の意味するもの
一 『後拾遺集』の女性歌
二 女性歌人増大の意味
三 詠み人しらずの女性歌
四 女性歌人増大と中世和歌への萌芽
第二節 『後拾遺和歌集』「詠み人しらず」歌考
一 『後拾遺集』の「詠み人しらず」
二 『後拾遺和歌集』「詠み人しらず」歌存在の実情
三 『後拾遺和歌集』「詠み人しらず」歌の作者判明歌
四 撰者通俊の撰集意識と「詠み人しらず」歌
第三節 藤原通宗小考
一 藤原通宗の閲歴
二 通宗の動向
三 歌学者としての通宗
第三章 表現と歌風
第一節 『後拾遺和歌集』の詞書をめぐって
一 『後拾遺集』の詞書の特質
二 羇旅、雑部の「題しらず」歌
三 詞書における「心を詠める」
四 詞書表記の特色と撰者の意図
第二節 『後拾遺和歌集』「題しらず」歌の二、三の問題
一 『後拾遺集』の「題しらず」歌
二 源道済の「題しらず」歌
三 永源法師、藤原元真の「題しらず」歌
四 『後拾遺集』「題しらず」歌の理由
第三節 『後拾遺和歌集』の新風をめぐる一考察
─ 僧侶歌人詠が担ったもの─
一 『後拾遺集』の僧侶歌人
二 『後拾遺集』の僧侶歌人の状況
三 僧侶歌人詠の特性
四 雑歌中の僧侶歌
五 「雑三」の僧侶歌
六 僧侶歌評価と『後拾遺集』の新風
第四章 『後拾遺和歌集』の周縁
第一節 『更級日記』荻の葉小考
一 「荻の葉」歌の背景
二 和歌素材としての「荻の葉」
三 伝統的和歌表現の日記介入と悔恨の潜流
第二節 王朝女性歌人の「月」─『後拾遺集』を中心に─
一 王朝文学の「月」
二 『後拾遺集』の「月」
あとがき
初出一覧
索引