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国語仮名表記史の研究

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国語仮名表記史の研究

書名かな こくごかなひょうきしのけんきゅう
著者(編者)名 斎藤達哉 著
著者(編者)名かな さいとうたつや
ISBNコード 978-4-8386-0741-9
本体価格 12,000円
税込価格 13,200円
判型 A5判上製カバー装
頁数 420頁
刊行日 2021年2月16日
在庫 有り
※10冊以上購入ご希望の場合には別途ご連絡下さい。
令和4年度 吉川博士記念賞 受賞

膨大な古典仮名資料の分析から日本語学の文字・表記史に挑む

 本書『国語仮名表記史の研究』は、仮名主体で表記された古典日本語の文章である「仮名資料」を調査対象として、日本語学の文字・表記史の分野に立脚した、「仮名資料の文字調査」、「語と用字との関係」、「字体認識と書写態度」の観点から四部構成で論じたものである。

はじめに─本書の概要─
Introduction: Overview of this Book

 【第1部 国語仮名表記史の研究
       ─目的・用語・資料・方法─】
1.仮名表記史研究の目的
2.用語について
3.資料について
4.方法について

 【第2部 仮名資料の文字調査】
 第1章 仮名資料の文字調査
      ─「花散里」67伝本の数的調査─
1.はじめに
2.調査対象と本文グループ
3.「文字集計表」について
4.「使用文字種集計表」について
5.「漢字表記語一覧」について
6.常用される文字
   ─「花散里」の「常用漢字」と「常用仮名字体」─
7.語の表記
8.同じ字種の仮名で表記される語
9.まとめ

 第2章 「漢字含有率」と「仮名字種数」から分かること
       ─「花散里」61写本の分類から─
1.はじめに
2.写本の文字の集計
3.「漢字含有率」と「書写時代」
4.「仮名字種数」と本文の属性
5.「漢字含有率」と「仮名字種数」による写本の性格の把握
6.まとめ

 第3章 文字調査に基づく『源氏物語』伝本の分類
       ─「花散里」の分類実例─
1.はじめに
2.『源氏物語』伝本間における「異なり」とは何か
3.何を目的に伝本を比べるのか
4.文字体系のレベル(漢字か仮名か)での伝本の整理
5.字種のレベル(字母)での伝本の整理
6.「漢字含有率」と「仮名字種数」による散布図
7.まとめ

 第4章 文字調査に基づく専修大学蔵為秀本「桐壺」の位置
1.はじめに
2.専修大学本「桐壺」巻(為秀本)について
3.専修大学本の文字調査
4.「漢字含有率」「仮名字種数」から見た専修大学本の位置
5.書き込みから分かること
6.まとめ  専修大学本(為秀本)『源氏物語』「桐壺」翻字

 第5章 「漢字含有率」「仮名字種数」と「改行位置」
       ─二つの正徹本『源氏物語』の関係─
1.はじめに
2.正徹奥書本『源氏物語』
  ─「国文研本」と「慶應本」の近さ─
3.改行位置の一致状況から書写態度を見る
4.語の表記を比較する─漢字で書くか仮名で書くか─
5.文字調査から見た「国文研本」「慶應本」の位置
6.まとめ

  【第3部 語と用字】
 第1章 ハの仮名の用字傾向
      ─米国議会図書館蔵『源氏物語』の場合─
1.はじめに
2.巻の抽出
3.字種《者》《八》《盤》《は》とその割合
4.音韻と字種
5.行頭におけるハの仮名の字種
6.行末におけるハの仮名の字種
7.まとめ─語の分節機能を担う仮名字種はあるか─

 第2章 語の表記に使用される仮名字種の「偏り」と「揺れ」
      ─「ケハヒ」と「カタハライタシ」の用字─
1.はじめに─語と用字─
2.「議会図書館本」におけるハの仮名の用字傾向
3.「ケハヒ」、「カタハライタシ」の文字列と用字の「偏り」
4.ハの仮名の用字の「揺れ」
5.ハの用字に「揺れ」が生じる背景
6.「例外」の生じる場合
7.まとめ

 第3章 ハの仮名字種から分かること
      ─『足利本仮名書き法華経』の場合─
1.はじめに
2.文字史資料としての『足利本仮名書き法華経』
3.ハの仮名字種と軸との関係
4.ハの仮名字種と前後の文字の字型との関係
5.ハの仮名字種と連綿との関係
6.まとめ

 第4章 仮名写本に使用される漢字字種
      ─『足利本仮名書き法華経』の場合─
1.はじめに
2.『足利本仮名書き法華経』の文体と漢字
3.通史的視点による漢字の定着度の分類
4.各群の漢字字種の性質 
5.まとめ

 第5章 仮名写本に使用される漢字字体の変形
       ─漢字「候」の省略字体─
1.はじめに
2.「候」の省略字体
3.「候」の省略字体の使用傾向
4.「サウラフ/サブラフ」の頻出と省略字体との関係
5.敬語動詞の漢字表記率の高さ
6.仮名文字列中で用いるための「省略字体」
7.まとめ

  【第4部 字体認識・書写態度の展開】
 第1章 『悦目抄』類の「位置による仮名の使い分け」
       ─仮名字体の誤認の拡大─
1.はじめに
2.『悦目抄』に対する評価
3.位置による仮名の使い分け意識の記述
4.『悦目抄』の関係書
   ─『和歌大綱』と『和歌三重之大事』─
5.調査対象とした資料
6.「位置による仮名の使い分け」の記述の変化
7.記述内容の変化が拡大する理由
8.「同字母の異体仮名」の対比は存在したのか
9.同音の仮名の明確な使い分けの記述
10.まとめ
付表「位置による仮名の使い分け対照表」

 第2章 明治期の書写態度
      ─麦生本『源氏物語』の転写本から─
1.はじめに
2.天理図書館蔵の麦生本『源氏物語』(原本)について
3.山口県文書館蔵の麦生本『源氏物語』(山口麦生本)について
4.書写の実態
5.まとめ

 第3章 明治期の字体認識
      ─第一号表と『仮名字類集』の「いろはがな」─
1.はじめに
2.改正小学校令施行規則
3.第一号表普及の際の「誤植」
4.菊地真澄『仮名字類集』と「いろはがな」
5.「近代」と「前近代」
6.まとめ

 第4章 傍記から訳文へ─『新編紫史』と『源氏物語評釈』─
1.はじめに
2.問題の所在─何に基づいて訳されたのか─
3.増田于信と『新編紫史』
4.頭注の一致
5.『評釈』の源氏本文及び傍記との比較
6.振り仮名による「別語」の生成
7.訳文に取り込まれない『評釈』傍記とその性格
8.訳されないまま残る敬語について
9.初期の訳語について
10.まとめ

初出一覧
あとがき
索 引

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