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研究書(文学系) 詳細
王朝日記物語の展開
―歌物語と日記物語―
書名かな | おうちょうにっきものがたりのてんかい―うたものがたりとにっきものがたり― |
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著者(編者)名 | 山下太郎 著 |
著者(編者)名かな | やましたたろう |
ISBNコード | 978-4-8386-0756-3 |
本体価格 | 11,000円 |
税込価格 | 12,100円 |
判型 | A5判上製カバー装 |
頁数 | 352頁 |
刊行日 | 2021年7月26日 |
在庫 | 有り |
第一部には、歌物語に関連する四編の論を、また第二部には、日記物語を取り上げた十一編の論を収載した。検証作業に一貫するものは、諸書の渉猟による諸説の丹念な吟味、定説への挑戦と妥協の排除である。『和泉式部日記』を中心に据え、著者21年間に亘る研究成果を一冊に凝縮した。
はじめに―日記物語と歌物語―
第一部 歌物語編
第一章 『古今和歌集』詞書の「よめる」と「よみける」
―ケリ叙述からリ叙述ヘ―
一 歌の前の「よめる」
二 『古今集』の「り」と「たり」
三 「古今集」詞書の類別
四 『古今集』詞書のケリ叙述とリ叙述
第二章 歌物語の「り」と「たり」
―「よめり」と「よみたり」―
一 『伊勢物語』第九段より、問題提起
二 諸説の概観
三 用例の検討その一、「り」または「たり」の続く例
四 用例の検討その二、「り」も「たり」も続く例
五 用例の検討その三、「よめり」と「よみたり」
六 『伊勢物語』第九段へ、まとめに代えて
第三章 『伊勢物語』の「よめる[ウタ]」
―歌語りを書くということ―
一 課題の設定
二 詞文と和歌
三 前提と成立
四 詠むの不在
五 鎖型の展開
六 進入と退出
第四章 『大和物語』の「となむありける」
―〈歌物語〉の生成―
一 はじめに―〈歌語り〉と〈歌物語〉―
二 冒頭と末尾―「とあり」表現の機能―
三 章段の連合―「となむありける」の位置―
四 『大和物語』の方法―『伊勢物語』を超えて―
五 補足―今後の課題―
第二部 日記物語編
第五章 『土佐日記』の人称構造
―「女」と〈私〉と〈私たち〉―
一 日記をすること
二 包み込む一人称
三 内なる他者と外なる他者
四 用例の検討
五 亡児悲傷の事例
六 「女性仮託」について
第六章 『和泉式部日記』の構成原理
―個別的叙述と総括的叙述―
一 無聊と伺候
二 無聊の慰謝
三 伺候の苦悩
四 注記の機能
第七章 『和泉式部日記』の引用辞「など」
―贈答の開始と終息―
一 引用辞「など」と「と」
二 副助詞「など」の機能
三 冒頭部の「など」と「と」
四 最終歌の「など」
五 贈答を包む「など」
六 引用辞「など」の行方
第八章 『和泉式部日記』の人称機構
―「女」と「宮」と〈私〉と―
一 忍音の章段
二 「女」と語り手
三 「宮」と語り手
四 語り手の位置
第九章 『和泉式部日記』の有明章段
―手習文の定位―
一 手習文の前後
二 手習文の挑戦
三 手習文の贈答
四 手習文の報復
五 手習文の効果
第十章 『和泉式部日記』の紅葉章段
―手枕の袖の変奏―
一 紅葉の章段
二 贈答の展開
三 大鳥の贈答
四 旅寝の贈答
五 紅葉の贈答
六 爾後の展開
第十一章 『和泉式部日記』の霜枯章段
―宮邸入りへの戦略―
一 参院の段落
二 疑惑の書簡
三 共鳴の書簡
四 隠蔽の戦略
第十二章 歌物語としての『和泉式部日記』
―「昔語り」から「世語り」ヘ―
一 はじめに―「物語」か「日記」か
二 和泉式部と貴船明神―歌語りの発生と伝承
三 世語りの和泉式部―口承と書承
四 「世語り」と「昔語り」―『日記』の用例
五 おわりに―「日記」と「物語」と「和歌」
第十三章 『紫式部日記』の三部構成
―区分と連関―
一 はじめに
二 全体の構成
三 第一部から第二部へ
四 第一部・第二部と第三部
五 おわりに
第十四章 新しい古典としての日記文学
―『土佐日記』から『更級日記』まで―
一 女性日記文学の生成―『土佐日記』の「女」
二 女性日記文学の始発―『蜻蛉日記』の妻と毋
三 女性日記文学の展開
―『和泉式部日記』と『紫式部日記』、そして『更級日記』へ
第十五章 古典の新しい指導法
―『更級日記』「門出」を教材として
一 はじめに
二 教材本文の提示と解説
三 おわりに
あとがき
原題・初出一覧
人名索引(近代以降)
大和物語研究史素描[改訂版]
―〈歌語り〉と〈歌物語〉、その往還―
(付:参考文献目録)