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研究書(語学系) 詳細
日本語学会論文賞叢書1 「格」の日本語学史的研究
─江戸期蘭文典と国学からの影響─
書名かな | にほんごがっかいろんぶんしょうそうしょ1「かく」のにほんごがくしてきけんきゅう―えどきらんぶんてんとこくがくからのえいきょう― |
---|---|
著者(編者)名 | 服部紀子 著 |
著者(編者)名かな | はっとりのりこ |
ISBNコード | 978-4-8386-0759-4 |
本体価格 | 8,000円 |
税込価格 | 8,800円 |
判型 | A5判上製カバー装 |
頁数 | 192頁 |
刊行日 | 2021年9月17日 |
在庫 | 有り |
日本語学会論文賞叢書 第1弾!
江戸時代におけるオランダ語学史については、先人によって新たな視点での研究が始められている。しかしそのような中で、オランダ語学を通して見出された日本語観、言い換えると、オランダ語との対照言語学的視点によって得られた日本語の見方については、考察すべき余地があるように思われる。
特に、それまで日本では意識されることのなかった格は、オランダ語を通して意識されるようになった。江戸時代の蘭学者がオランダ語における格(naamvallen)という概念をどのように理解し、またそれが日本語観にどう影響したのか。
本書では、『六格前篇』と『和蘭語法解』の2冊の蘭文典を取り上げるのだが、これら2冊はオランダ語を翻訳して理解するという目的のために著されているのだから、日本語学史の資料とはなり得ないのではないかという指摘もあるだろう。しかし同時に両書は、格がオランダ語のみならず言語全般に普遍的に見られることを主張している。つまり、日本語の格についても当然、考慮に入れていると考えられるのである。オランダ語と日本語の格組織は異なることからそれぞれの理解に相違も見られるが、このことを前提にして、両蘭文典の著者が日本語の格をどのように考えていたかという、その理解を明らかにすることは可能であり、蘭文典を通して見えてくる日本語の文法観を読み取る試みに意義はあると考える。
以上により、蘭文典から『語学新書』の格理解への過程を、近代文法学説に見られる格研究の前史として位置づけることが本研究の目的である。
(本書「序章」より一部抜粋)
【目次】
序章
1 近現代における「格」研究の到達点
2 江戸時代の日本語研究における「格」
─鶴峯戊申『語学新書』の「九格」─
3 蘭文典における格研究の始まり
4 『語学新書』が影響を受けた蘭文典
5 本研究の意義と構成
第1章 蘭文典における格理解Ⅰ
─『六格前篇』におけるオランダ語の格─
1 はじめに
2 『六格前篇』における「六格」の位置づけ
3 「拕揉」という概念と「名詞」
4 「六格」について
5 格に関わる「前詞」と「宗詞」
6 「格」を示す形式についての考察
7 おわりに
第2章 蘭文典における格理解Ⅱ
─『和蘭語法解』におけるオランダ語の格─
1 はじめに
2 『和蘭語法解』について
3 格の記述内容
4 「転変」
5 「六格ニ関係スル言」
6 「標的」
7 格標示形式
8 おわりに
第3章 蘭文典に見る日本語の「格」
─『六格前篇』と『和蘭語法解』とを比較して─
1 はじめに
2 『六格前篇』と『和蘭語法解』における
オランダ語の格理解
3 『六格前篇』における日本語の格標示形式
4 『六格前篇』における「格」と「てにをは」の関係
5 『和蘭語法解』における「テニヲハ」と「格」
6 おわりに
第4章 『語学新書』における格理解Ⅰ
─蘭文典の格をどのように取り入れたか─
1 はじめに
2 先行研究
3 『語学新書』における「格」の実例
4 『和蘭語法解』と『語学新書』の相違点
5 「君」「臣」「民」の「三法」
6 おわりに
第5章 『語学新書』における格理解Ⅱ
─国学の言語研究をどのように取り入れたか─
1 はじめに
2 「君」「民」と『詞の玉緒』に見られる「本」「末」
3 『語学新書』と『詞の玉緒』の「かかり」
4 「省格」と『六格前篇』の「徒」
5 おわりに
第6章 山田孝雄『日本文法論』における「位格」
1 はじめに
2 「位格」とは何か
3 山田文法における8種の「位格」と格標示形式
4 鶴峯から山田へ
─学史上における『日本文法論』の「位格」─
5 おわりに
終章
1 日本語学史上における格理解のプロセス
2 幕末から明治へ
使用テキスト
参考文献
附 録
後 記
索 引
序章
1 近現代における「格」研究の到達点
2 江戸時代の日本語研究における「格」
─鶴峯戊申『語学新書』の「九格」─
3 蘭文典における格研究の始まり
4 『語学新書』が影響を受けた蘭文典
5 本研究の意義と構成
第1章 蘭文典における格理解Ⅰ
─『六格前篇』におけるオランダ語の格─
1 はじめに
2 『六格前篇』における「六格」の位置づけ
3 「拕揉」という概念と「名詞」
4 「六格」について
5 格に関わる「前詞」と「宗詞」
6 「格」を示す形式についての考察
7 おわりに
第2章 蘭文典における格理解Ⅱ
─『和蘭語法解』におけるオランダ語の格─
1 はじめに
2 『和蘭語法解』について
3 格の記述内容
4 「転変」
5 「六格ニ関係スル言」
6 「標的」
7 格標示形式
8 おわりに
第3章 蘭文典に見る日本語の「格」
─『六格前篇』と『和蘭語法解』とを比較して─
1 はじめに
2 『六格前篇』と『和蘭語法解』における
オランダ語の格理解
3 『六格前篇』における日本語の格標示形式
4 『六格前篇』における「格」と「てにをは」の関係
5 『和蘭語法解』における「テニヲハ」と「格」
6 おわりに
第4章 『語学新書』における格理解Ⅰ
─蘭文典の格をどのように取り入れたか─
1 はじめに
2 先行研究
3 『語学新書』における「格」の実例
4 『和蘭語法解』と『語学新書』の相違点
5 「君」「臣」「民」の「三法」
6 おわりに
第5章 『語学新書』における格理解Ⅱ
─国学の言語研究をどのように取り入れたか─
1 はじめに
2 「君」「民」と『詞の玉緒』に見られる「本」「末」
3 『語学新書』と『詞の玉緒』の「かかり」
4 「省格」と『六格前篇』の「徒」
5 おわりに
第6章 山田孝雄『日本文法論』における「位格」
1 はじめに
2 「位格」とは何か
3 山田文法における8種の「位格」と格標示形式
4 鶴峯から山田へ
─学史上における『日本文法論』の「位格」─
5 おわりに
終章
1 日本語学史上における格理解のプロセス
2 幕末から明治へ
使用テキスト
参考文献
附 録
後 記
索 引