研究書(文学系) 詳細
中世歴史物語の基幹組成
─『増鏡』『梅松論』の文学史的研究─
書名かな | ちゅうせいれきしものがたりのきかんそせい―『ますかがみ』『ばいしょうろん』のぶんがくしてきけんきゅう― |
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著者(編者)名 | 福田景道 著 |
著者(編者)名かな | ふくだあきみち |
ISBNコード | 978-4-8386-0770-9 |
本体価格 | 15,000円 |
税込価格 | 16,500円 |
判型 | A5判上製カバー装 |
頁数 | 454頁 |
刊行日 | 2022年11月1日 |
在庫 | 有り |
はじめに
序編 『増鏡』と『梅松論』─中世歴史物語史の岐路─
第一章 歴史物語史の中の『増鏡』と『梅松論』
─分岐する中世歴史物語─
はじめに─歴史物語の性格─
一 歴史物語史における『増鏡』と『梅松論』
二 『増鏡』と『梅松論』の枠物語構想
第二章 『増鏡』と『梅松論』の基幹組成
─「横さま」と「横シマ」の皇位継承史─
一 『増鏡』に見られる「横さま」の皇位継承
二 「横さま」ではない後嵯峨院
三 『梅松論』に現れる「橫シマ」の皇位継承
結 文芸的歴史叙述の統一性
第一編 『増鏡』の基幹組成と世界構図
第一章 歴史物語としての『増鏡』
─皇位継承史構想をめぐって─
一 「皇位継承」に依拠する宮廷貴族
二 「皇位継承」に関与する武家政権
三 皇位継承史構想
四 基幹を貫流する皇位継承史と明暗反転
第二章 『増鏡』の基幹組成
─二家系対照と明暗循環の構図─
一 北条義時の兄、宗時の存在
二 温順な兄と聡敏な弟の明暗
三 二家系対照の構図
四 二家系共存の基幹構想
第三章 『増鏡』の基軸構想
─同趣事象の反復と明暗循環─
一 仲恭帝の悲運─強調される明暗反転─
二 未来に繋がる先例と繋がらない先例
三 同趣事象の反復
四 同趣事象の明暗対比
五 明暗を反転させる後嵯峨院
第四章 『増鏡』と両統問題─競合と並存─
一 二皇統並立時代の歴史叙述
二 大覚寺統支持説と持明院統支持説
三 中立的立場と両立的立場
四 競合する二皇統
結 二皇統共存の構図
第五章 『増鏡』の「先例」記述
一 編年史における「先例」の機能
二 「先例」を超える現実
三 明暗落差を強調する「先例」
四 操作される「先例」
五 『増鏡』の構想と「先例」
第六章 『増鏡』の「予言」記事
一 「先例」による「予言」
二 予祝歌と明暗反転
三 世評による予言
四 皇位継承と神意
五 皇統並存の歴史叙述
第七章 『増鏡』にみられる宮廷貴族諸流の盛衰
─外戚から近臣へ─
一 宮廷貴族の動向
二 九条道家の栄華
三 西園寺家の栄光
四 皇統に依存する宮廷貴族
五 「外戚」から「近臣」へ
第八章 『増鏡』の非政治的記事について
─皇位継承史的性格の考察─
はじめに
一 女性と情事
二 行事・儀式の盛大さ
三 諸本の問題について
四 皇位継承史的構想
第九章 『増鏡』と隠岐
一 『増鏡』における「地方」と「中央」
二 後鳥羽院と後醍醐帝の近似性
三 異郷(異界)としての隠岐
四 再生の場としての隠岐
第二編 『梅松論』の基幹組成と世界構想
第一章 歴史物語としての『梅松論』
─皇位継承史構想をめぐって─
一 『梅松論』の中の歴史物語的要素
二 「将軍」の意味
三 伏流する「世継」
四 「官軍」と「凶徒」
五 歴史物語史の中の『梅松論』
第二章 『梅松論』の基幹構想─「将軍」と「正統」─
一 交替する「正統」
二 統治の正否と皇統の正邪
三 北条氏評価の二元性
四 「先代」の意味
五 「将軍」尊氏と「天」
第三章 『梅松論』の皇位継承史構想
─後堀河院・後嵯峨院・光厳院の正統性─
はじめに
一 間欠的皇位継承史
二 後堀河院の皇位継承
三 後嵯峨院の遺勅と皇位継承
四 所詮持明院殿ハ天子ノ正統
第四章 天理本『梅松論』の歴史構想
─正確性と精密性の追求─
はじめに─天理本『梅松論』について─
一 史実の精確化と先行作品転用
二 後堀河院の系譜と天理本
三 皇位継承史構想と史実性
結 文芸的歴史叙述としての天理本『梅松論』
第五章 『梅松論』枠物語の変容
─登場人物の世代と「先代様」─
はじめに─『梅松論』の枠物語設定と諸本─
一 京大本の枠物語
二 天理本の枠物語
三 流布本の枠物語
四 『梅松論』の時代区分法
五 「先代様」の変質と世代間格差
結 『梅松論』歴史語りの変容
第六章 『太平記』の皇位継承史構想
─『梅松論』『増鏡』と対比して─
はじめに
一 歴史物語と軍記文学
二 軍記文学『太平記』と「世継」
三 大塔宮護良親王と皇位
四 嫡流光厳院の正統性
結 『太平記』と歴史物語
第三編 中世歴史物語の史的展開
第一章 歴史物語の系譜と中世歴史物語
一 中世における歴史物語作品群
二 歴史物語史の根幹
第二章 歴史物語の系譜と『増鏡』
─作品世界の統一と文学史再編成─
一 歴史物語と日本通史
二 歴史叙述の「歴史領域」と「起点」
三 『六代勝事記』と『五代帝王物語』の歴史領域
四 『弥世継』の位置づけ
五 『増鏡』による歴史物語史再編成
第三章 『増鏡』型歴史物語の系流
─もう一つの歴史物語史─
一 歴史物語観の確立過程
二 もう一つの歴史物語史
三 『増鏡』型歴史物語の系列
第四章 源家の歴史物語─第四の歴史物語─
一 『梅松論』の枠物語構想の変容
二 『源威集』と『神明鏡』
三 源家歴史物語の萌芽
第五章 中世における歴史叙述と通史教育
一 歴史物語と「教育」
二 枠物語の教育的性格
三 通史と皇位継承史
四 通史的歴史叙述と教育
付 章 『増鏡』・『梅松論』の本文と成立について
一 『増鏡』の本文
二 『梅松論』の本文
三 成立時期と作者について
本書の要約
初出一覧
おわりに
索引(古典籍書名索引・歴史人物名索引・研究者名索引)