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研究書(文学系) 詳細
源氏物語の顕現
書名かな | げんじものがたりのけんげん |
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著者(編者)名 | 竹内正彦 著 |
著者(編者)名かな | たけうちまさひこ |
ISBNコード | 978-4-8386-0771-6 |
本体価格 | 10,000円 |
税込価格 | 11,000円 |
判型 | A5判上製函入 |
頁数 | 530頁 |
刊行日 | 2022年12月16日 |
在庫 | 有り |
『源氏物語』という緻密に織りあげられた表現世界。
その世界は、読むという行為によって顕現してくる。
本書は『源氏物語』における表現世界の究明をめざし、光源氏とは何か。光源氏をめぐる物語とはいかなるものか。彼が歩んできたその踏み跡をたどりつつ、いまここに生き生きと顕ち現れてくる物語の動的な様相を論じる。
凡例
はじめに
Ⅰ 若きいろごのみの蹉跌
第一章 そのそこの夕顔
─「夕顔」巻における「心あてに」歌の
解釈をめぐって─
一 「心あてに」歌をめぐる諸問題
二 「心あてに」歌の現在
三 名告りせぬ夕顔
四 そのそこの夕顔
五 「夕顔の花」から「花の夕顔」へ
六 夕顔的なるものの顕現
第二章 門前の随身
─夕顔物語の始発をめぐって─
一 「夕顔のしるべせし随身」の諸問題
二 『源氏物語』のなかの「随身」
三 「はらふ」随身
四 門に入って花を手折るということ
第三章 覆面の光源氏
─夕顔物語における伝承世界をめぐって─
一 夕顔物語と三輪山式神婚譚
二 覆面の光源氏
三 光源氏の顔に寄り来るもの
四 光源氏が覆面をとる時
第四章 夕顔物語と「昔物語」
一 「昔ありけん物の変化」めく光源氏
二 夕顔物語と三輪山説話
三 顔を隠して女性のもとに通う話
四 通ってくるものに女性が食われる話
五 物語を生成させる物語
Ⅱ 仮構される聖代
第五章 池のほとりの光源氏
─「少女」巻の放島の試みを起点として─
一 放島の試み
二 池のあそび
三 宴の記憶
四 王者の池、蓮の池
第六章 野に行く冷泉帝
─「行幸」巻の大原野行幸をめぐって─
一 大原野行幸の位相
二 野行幸以前
三 〈水の女〉の視線
四 聖代の実相
第七章 儀礼の梅枝
─「梅枝」巻における朝顔姫君をめぐって─
一 「梅枝」巻の朝顔姫君
二 朝顔姫君の噂
三 梅枝をめぐる儀礼
四 仮構される〈いろごのみ〉
第八章 御湯殿の儀の明石君
─「若菜上」巻における明石の町の
生誕儀礼をめぐって─
一 「若菜上」巻における御湯殿の儀
二 迎湯の位相
三 御湯殿の儀に参り来るもの
四 御湯殿の儀の始原
五 外祖母としての明石君
Ⅲ 苦悩する巨人
第九章 光源氏の退屈
─高崎正秀の源氏物語論をたどりつつ─
一 「つれづれ」なる光源氏
二 高崎正秀の方法とその位相
三 文学をおもしろくなくする方法
四 〈神の子〉の理想の生活と女三宮
第十章 女三宮のなつかぬ唐猫
─柏木物語におけるその位相をめぐって─
一 唐猫の登場
二 なつかぬ唐猫
三 献じられる唐猫
四 唐猫のゆくえ
第十一章 光源氏の〈みさを〉
─「若菜下」巻における「うたての翁」をめぐって─
一 うたての翁、光源氏
二 『源氏物語』の「翁」
三 翁の恋
四 光源氏の〈みさを〉
第十二章 〈みさを〉について
─光源氏論のために─
一 光源氏の〈みさを〉
二 「みさを」の語義
三 「みさを」の位相
四 折口名彙としての〈みさを〉
Ⅳ 情念のゆくえ
第十三章 〈もののけ〉の幻影
─柏木の絶筆をめぐって─
一 死の視線
二 もうひとつの絶筆
三 「鳥の跡のやう」な筆跡
四 〈もののけ〉の柏木
第十四章 柏木の文袋
─封じ込められた最後の手紙をめぐって─
一 恐ろしき袋
二 手紙を書く柏木
三 供養される手紙
四 袋のなかの柏木
第十五章 「あはれ、衛門督」考
─『源氏物語』における右衛門督をめぐって─
一 「あはれ、衛門督」をめぐって
二 右衛門督の位相
三 『源氏物語』における右衛門督
四 右衛門督としての柏木
五 子孫の途絶と怨霊
六 祀りあげられていく柏木
第十六章 「紙屋の人」を召す光源氏
─「鈴虫」巻における柏木の位相─
一 「紙屋の人」を召す光源氏
二 紙屋紙の位相
三 紙屋紙と宿紙
四 柏木の手紙のゆくえ
第十七章 扇をさし隠す夕霧
─「夕霧」巻における夕霧の小野再訪をめぐって─
一 「夕霧」巻における夕霧の小野再訪
二 「扇をさし隠す」の解釈をめぐって
三 「扇をさし隠す」というふるまい
四 「扇をさし隠す」女性たち
五 まめ人の顔
Ⅴ 終わりゆく世界
第十八章 朧月夜の退場
─「若菜下」巻における「作物所」をめぐって─
一 朧月夜の出家
二 作物所の諸相
三 六条院における作物所設置の可能性
四 作物所の人を召す光源氏
第十九章 紫上の二条院
─「若菜下」巻における転居を起点として─
一 六条院から二条院への転居
二 紫上と二条院
三 二条院の伝領をめぐって
四 ゆくえなき紫上
第二十章 死者なき葬儀
─浮舟物語の収束をめぐって─
一 死骸なき葬儀の類例
二 死者なき葬儀がはらむもの
三 浮舟失踪以後の状況
四 浮舟の再生をめぐって
五 浮舟のゆくえ
第二十一章 夢のあとの明石中宮
─明石一族物語の宇治十帖─
一 明石中宮の位相
二 明石中宮の変貌
三 明石一族の夢のあと
四 明石中宮の宇治十帖
初出一覧
あとがき
索引