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9784838610037

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享受される海洋文化

―伝説・楽園・異界―
書名かな きょうじゅされるかいようぶんか―でんせつ・らくえん・いかい―
著者(編者)名 畑 恵里子 編
著者(編者)名かな はたえりこ
ISBNコード 978-4-8386-1003-7
本体価格 1,500円
税込価格 1,650円
判型 A5判並製カバー装
頁数 184頁
刊行日 2023年1月31日
在庫 有り

まもるべき海の異界の、宮殿

「三つの課題が眼前にあった。
一つ目は、浦島伝説の研究の現状と市井の人々の享受と乖離
である。(中略)二つ目は、現在の浦島伝説の享受の実態把
握である。(中略)そして、市井の人々が気軽に参画が可能
で、かつ、ある程度の専門性を有する学術的企画はできない
ものか。これが三つ目の課題である。」
                 (「あとがき」より)

 序文にかえて      畑 恵里子

第一部 パネルディスカッション
「海洋文化としての伝説・楽園・異界」
  Legends, Paradise, and the Other World,
   As Maritime Cultures

一 趣意文 / 畑 恵里子

二 基調報告 一
  丹後の海と浦島のいま
   Tango Sea and Urashima Today/小山 元孝

  京丹後市の概要/丹後の海の姿
   ─泡にまみれた道路(京都府京丹後市丹後町)
   ・砂にまみれた道路(京都府京丹後市網野町)
   ・鮮魚店店頭(京都府京丹後市網野町)
   ・広通寺薬師如来坐像(京都府京丹後市網野町)
   ・福島神社(京都府京丹後市久美浜町)
   ・上山寺(京都府京丹後市丹後町)
   ・竹野神社(京都府京丹後市丹後町)─
  浦島のいま
   ─釣溜(京都府京丹後市網野町)
   ・福島(京都府京丹後市網野町)
   ・浦島児宅伝承地(京都府京丹後市網野町)
   ・浦島太郎出生地(京都府京丹後市網野町)
   ・水無月祭(京都府京丹後市網野町)
   ・しわ榎(京都府京丹後市網野町)─

三 基調報告 二
  海の女性がもたらす力
   ─記紀神話と『源氏物語』における皇族と海族の結婚
   Power of the Sea Goddesses: How the Mytho-
   histories of Japan and the Tale of Genji Represent
   the Intermarriages of the Royal Men and the Women
    of the Undersea Kingdom/シュミット 堀 佐知

  はじめに
  貴種流離譚とは
  異界としての海
  山幸彦伝説
  『源氏物語』
  玉依姫と紫の上について 

四 基調報告 三
  ポーランドの琥珀
   Amber in Poland / 園山 千里
 
  Jurassic Park ジェラシックパークの琥珀
   (こはく・Amber)から
   ─琥珀の定義・バルト海沿岸の琥珀・ポーランドの琥珀
    に関する話『バルト海の女王』─
  琥珀が登場する小説
   ─辻村深月『琥珀の夏』より・大庭みな子「炎える琥
    珀」より・ギリシャ神話 オウィディウス『変身物
    語』巻二から パエトンの姉妹「太陽の娘たち(ヘ
    リアデス)」・Tajemnice bursztynu『秘密の琥珀』
    Barbara Kosmowska-Ceranowicz著(一九八九年)─
  海を舞台とする神話・伝説からみえてくる琥珀の表象 

五 フロアからの質疑応答
  丹後の海の波の花
  浦嶋神社の絵解き
  日本の琥珀に関する伝説の稀薄性
  話型の再生産

六 アフタートーク              小山 元孝
                  シュミット 堀 佐知
                       園山 千里
                       畑 恵里子

  基調報告での意図・戦略
  現在も生きている丹後の浦島伝説
  異界しての海と海幸・山幸伝説
  守るべきものとしての海の宮殿
  仏典の想像上の宝物としての琥珀
  海と性差
  海中の宮殿へ連れてゆく話型と連れてこない話型
  丹後に点在する浦島史跡
  丹後の皺榎の伝承
  皺榎の背景
  丹後で発生したあらたな浦島伝説
  海底の異界と山の異界との対比
  おわりに


第二部  論  考

一 しわ榎の源流─浦島子をめぐる信仰史の一断面─
  The Origin of the Shiwa Enoki:A History of the Belief in
   Urashimako/小山 元孝
 一 はじめに
 二 もう一つのしわ榎
 三 浦島明神と霊木
 四 二つの「しわ榎」の関係
 五 おわりに~しわ榎のいま~ 

二 海の女神・巫女・「めのと」
   ─タメヨリビメの流動的な性について
  The Sea Goddess, Shamaness, Erotic Mother:
   Princess Tamayori and Her Fluid Sexuality
   /シュミット 堀 佐知
 一 はじめに
 二 海幸山幸伝説と海神の女たち
 三 山幸彦・トヨタマビメ・タマヨリビメの関係
 四 性愛・生殖・政治のあわい
 五 「めのと」としてのタマヨリビメの性
 六 おわりに 

三 海と森とをつなぐ琥珀の輝き
  The Shine of Amber connecting the sea to the forest
   /園山 千里
 一 はじめに~バルト海の琥珀から~
 二 漁師を愛した女王ユラタの悲劇
 三 よみがえる樹の雫
 四 琥珀となった姉妹の涙
 五 流れ落ちる人間の涙
 六 おわりに 

四 アンケートから見る浦島伝説の享受の一様相
  An aspect of the enjoyment of Urashima Legend of
   seen from the questionnaire/畑 恵里子
 一 はじめに
 二 アンケートの目的と項目
 三 一般の人々にとって昔話や伝説にあたる作品
 四 昔話や伝説の享受の経路
 五 浦島伝説の認知度・人気度・縁起度
 六 浦島伝説・『桃太郎』・『竹取物語』
 七 おわりに 

あとがき/畑 恵里子

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