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研究書(文学系) 詳細
源氏物語の表現への道
─歌ことばと漢詩文による新たな言語世界─
書名かな | げんじものがたりのひょうげんへのみち―うたことばとかんしぶんによるあらたなげんごせかい― |
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著者(編者)名 | 内藤英子著 |
著者(編者)名かな | ないとうえいこ |
ISBNコード | 978-4-8386-0787-7 |
本体価格 | 12,000円 |
税込価格 | 13,200円 |
判型 | A5判上製カバー装 |
頁数 | 454頁 |
刊行日 | 2024年2月2日 |
在庫 | 有り |
『源氏物語』の表現はいかにして創造されたのだろうか。
凡例
序章 十世紀後半から『源氏物語』誕生まで
はじめに
一 和漢兼作の時代
二 好忠と「河原院周辺歌人」たち
三 物語誕生の場と文化圏
四 本書の構成と内容
おわりに
第一部 『源氏物語』における表現の達成
一 歌ことばによる表現の創造
第一章 空蟬物語の引歌表現
─『一条摂政御集』との関わりを中心に─
はじめに
一 『一条』一三二番歌の歌群における位置と詠者
二 『一条』一三二番歌の本歌と『伊勢物語』
三 空蟬物語と『一条』
四 『一条』と『源氏物語』
おわりに─空蟬巻巻末歌について
第二章 関屋巻の音風景
─「音泣く」空蟬の変容と逢坂の関─
はじめに
一 関の清水と涙
二 帚木三帖での「音泣く」空蟬と蓬生巻の末摘花
三 「逢坂の関」での邂逅の意図
おわりに─関屋巻以後の空蟬
第三章 夕霧巻に見られる歌物語の系譜
─帚木巻を起点として─
はじめに
一 空蟬と落葉宮の物語における語りの類似
二 品定めの経験談と雲居雁・落葉宮
三 妻の嫉妬による夫婦のいさかい
四 帚木巻と夕霧巻にみられる仏教観
おわりに
第四章 夕霧物語の表現の方法
─「河原院周辺歌人」詠との共通の
歌ことばを通して─
はじめに
一 少女巻─荻のうは風
二 野分巻─刈萱の乱れ
三 藤裏葉巻─花のひもとく
四 柏木巻─葉守の神のゆるし
五 夕霧巻─小野・緑の袖・葛の葉・草むらの虫
六 夕霧の心情表現
おわりに
二 漢詩文による表現の創造
第五章 光源氏の女人哀悼表現における閨怨の情
─「塵積もりぬるとこ」を中心に─
はじめに
一 「亡き魂ぞ」の歌
二 「君なくて」の歌
三 夕顔と紫の上の哀悼場面
四 中国の悼亡詩と日本の亡妻哀悼歌
五 願文における妻の哀悼表現
おわりに
第六章 柏木哀悼における「柳のめ」
─元白詩語の利用と夕霧物語の始発─
はじめに
一 柏木の哀悼場面の解釈について
二 和歌や漢詩文に詠まれる「柳のめ」と「柳眼」
三 「柳」からの連想
四 なぜ「柳のめ」なのか
五 哀悼表現の先例としての漢詩文
おわりに
第七章 末摘花の「紅の涙」と「紅花染め」
─「秦中吟」の「重賦」引用の意味─
はじめに
一 末摘花の歌に詠み込まれた「紅の涙」
二 「紅の涙」の諷諭するもの
三 一条天皇と諷諭の精神
四 紅花染めの流行と禁止令
おわりに
第八章 「中の衣」と「色好み」
─「美人賦」による好色批判と物語内引用─
はじめに
一 発端となる末摘花巻─卓文君の故事と「紅の涙」
二 漢語「中衣」と「美人賦」
三 紅葉賀巻─「夜聞歌者」・「美人賦」・
「紅の濃染の衣」
四 明石巻─「琵琶引」・卓文君の故事・「形見の衣」
五 少女巻─卓文君の故事と「紅の涙」
六 宿木巻─『落窪物語』の「かばかり」
引用によるパロディ化
おわりに
第二部 『源氏物語』の表現への道
一 歌物語における表現の創造
第九章 『伊勢物語』五十二段と漢詩文
─屈原・潘岳との関わりを通して─
はじめに
一 「飾り粽」と屈原
二 「雉」と潘岳
三 連想による段落の展開
おわりに
第十章 『伊勢物語』六十三段と仏教思想
─『万葉集』「みやびを」問答の影響を通して─
はじめに
一 六十三段の「世ごころ」と「心なさけ」
二 六十三段と『万葉集』の「みやびを」問答
─「方便」と「恥」
三 『うつほ物語』「一条北の方物語」と
「みやびを」問答─「恥」と「なさけ」
四 六十三段の「けぢめ見せぬ心」と「慈悲」
おわりに
第十一章 『大和物語』八十九段の和歌表現と
構成についての考察
はじめに
一 「網代─氷魚─寄る」和歌表現の変遷からみる
修理歌の特異性
二 『拾遺集』の詞書と部立からみる
修理歌の特異性
三 『蜻蛉日記』の引歌の方法からみる修理歌の特異性
四 八十九段の和歌の配列からみる構成の特異性
おわりに
二 『うつほ物語』における表現の創造
第十二章 『うつほ物語』の和歌における表現の方法
─好忠・順歌との共通語彙を中心に─
はじめに
一 あて宮求婚歌群の和歌表現
二 「露」「積もれる山」
三 「鳰鳥」の「鳴く」思い
四 不遇表現としての「松の緑」と「数ならぬ身」
五 「初期定数歌」と『うつほ物語』の詠歌方法
六 『うつほ物語』と「河原院周辺歌人」詠との関わり
おわりに
第十三章 忠こそ巻における和歌表現の方法
─『古今六帖』との関わりを中心に─
はじめに
一 「をかしき浅茅」
二 「葎生ほす宿」
三 「蓬」の不在
四 「菅原伏見の里」
五 歌語の連想による和歌の展開
六 『古今六帖』の歌題による発想
おわりに
第十四章 実忠物語と『平中物語』
─近江に関連する共通語彙を中心に─
はじめに
一 志賀寺での実忠と「平中」
二 志賀寺参詣の意図
三 「浜千鳥」
四 「山彦」
五 平中と近江
おわりに
第十五章 「まめ人」仲忠の「色好み」
─内侍のかみ巻からの新たな人物造型─
はじめに
一 あて宮との疑似恋愛①「下紐解くるは朝顔に」
二 あて宮との疑似恋愛②あだくらべ
三 歌枕「名取川」による「色好み」像の形成
四 「色好み」の実情①さま宮と「これこそ」への懸想
五 「色好み」の実情②宰相の上への懸想
六 おわりに
第十六章 蔵開巻における神仙譚を利用した語りの方法
─仲忠の造型を中心に─
はじめに
一 仲忠と女童の祝賀の場での出逢い
二 吉野に由来する柘枝伝説と五節の舞
三 仲忠と仲頼の妹との一条殿での出逢い
四 蔵開巻と『遊仙窟』
おわりに─内侍のかみ巻から蔵開巻の展開について
第十七章 后の宮の造型
─『うつほ物語』から『源氏物語』へ─
はじめに
一 「青蠅」の解釈をめぐって
二 后の宮の人物像
三 弘徽殿大后の人物像と二人の后の比較
四 「后の宮」の呼称と第三の后の宮・藤壺
おわりに
結章 歌ことばと漢詩文による新たな言語世界
はじめに
一 並びの巻にみられる歌ことば表現
二 漢詩文が生み出す時空における表現
三「河原院周辺歌人」の再評価
おわりに
初出一覧
あとがき
索引(和歌索引・書名索引・人名索引・重要語句索引)