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研究書(文学系) 詳細

9784838607921

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枕草子の読み解き

―地名類聚そして言語遊戯―
書名かな まくらのそうしのよみとき―ちめいるいじゅうそしてげんごゆうぎ―
著者(編者)名 原 由来恵 著
著者(編者)名かな はらゆきえ
ISBNコード 978-4-8386-0792-1
本体価格 9,800円
税込価格 10,780円
判型 A5判上製カバー装
頁数 454頁
刊行日 2024年2月27日
在庫 有り

『枕草子』という作品は何なのか。

 清少納言が中宮定子に仕えた時代は、大きな不安が包み込む時代でもあった。しかしそれらの悲劇性を『枕草子』の作者は感じさせることはない。
 『枕草子』のストラテジーはどのようなものであったのか。これまで注目されてこなかった「地名」類聚章段群を軸に、言語遊戯性とコンテクストから作品の本質を解き明かした今後の研究の地平を拓く画期的な一書。

緒言

第一部 『枕草子』「地名類聚」章段
      ―「名」の選択と配列に見える言語遊戯
 序章 『枕草子』の本文について
   一 『枕草子』の伝本について
   二 三巻本と本論文底本について
   三 『枕草子』研究の課題
   四 『枕草子』類聚的章段と「地名類聚」章段

 第一章 『枕草子』「地名類聚」章段研究の意義
   一 『枕草子』における「地名類緊」章段の位置
   二 三巻本「地名類聚」章段研究の意義
   三 「地名類聚」章段の特徴
   四 『枕草子」「地名類聚」章段における
      新たな読みの視点

 第二章 「地名類聚章段」と展開
       ―「社は」章段の読み解きから
   一 方法
   二 「社は」章段の三つの伝承
   三 『枕草子』における蟻通明神
   四 作者の享受態度
   五 「歌語り」と「打開」
   六 おわりに―「社は」章段の言語遊戯性

 第三章 「池は」章段の読み解き
      ― 地名類聚と言語遊戯(一)
   一 方法
   二 配列された池とその風土
   三 「池は」章段における作者の名称選択の意図
   四 風土からの名称選択
   五 おわりに―「池は」章段の言語遊戯

 第四章 「山は」章段の読み解き
      ― 地名類聚と言語遊戯(二)
   一 問題と方法
   二 「山」の名の配列に隠された言語遊戯
   三 章段構成から見る作者の〈連想展開意識〉
   四 「山は」章段の名称の選択と配列の構造

 第五章 「里は」章段の読み解き
      ―選ばれた地名と配列に見る方法(一)
   一 問題と方法
   二 「里」の名の配列に見られる言語遊戯
   三 「里は」章段の構造
   四 「里は」章段の読み―「人つま」の表記に対する私論
   五 名称の選択と配列の意義

 第六章 「市は」章段の読み解き
      ―選ばれた地名と配列に見る方法(二)
   一 問題と方法
   二 登場「市」の推定所在とその背景
   三 長谷寺参詣と海柘榴市
   四 「市」の名の選択と配列―言語遊戯から

 第七章 「地名類聚」章段の本質
   一 方法
   二 地名類聚章段に見る「ことば遊び=言語遊戯」
   三 三巻本『枕草子』「地名類聚」章段研究の展望と課題

 第八章 「地名類聚」章段のストラテジー
   一 はじめに
   二 日常における言語遊戯
   三 地名類聚章段プロットのしくみ
   四 言語遊戯のコード構築の場
   五 作者の言葉に対する「興味と遊戯」
   六 「神は」章段に見る「地名類聚」章段の
      言語遊戯世界
   七 おわりに

 第九章 三巻本『枕草子』「地名類緊」章段校訂本文


第二部 『枕草子』の基底――言語遊戯に託されたもの
 第一章 「枕草子」は何のために書かれたのか
       ―女房の「知識・知識・機知」そして
        「教育」に連関して
   一 はじめに
   二 作者・読み手間の共通認識
      ―言語遊戯のコード構築の場
   三 当時の「教育の目的」
   四 『枕草子』における「教育」の素材
   五 作者の「宮仕え」と「女性」論
   六 女房という存在と役割
   七 『枕草子』に見る「教育観」の基底
   八 作者の役割
   九 おわりに

 第二章 「春はあけぼの」章段の謎
   一 はじめに
   二 作品構成からの「春はあけぼの」章段
   三 「春」と「あけぼの」の表裏―時間推移
   四 「春」と「あけぼの」の表裏―紫立ちたる雲
   五 言語遊戯と機知
   六 おわりに

 第三章 「舞は」章段のしくみ
   一 はじめに
   二 列挙された「舞」の特色
   三 『枕草子』における「舞」の表現
   四 列挙された「舞」への仮託
   五 おわりに

第四章 「社は」章段のしくみ
   一 はじめに
   二 「社は」章段の構造
   三 三巻本『枕草子』「地名類聚」章段研究の展望と課題

第五章 「関は」章段のしくみ
   一 はじめに
   二 選ばれた「関」の名が持つ謎
   三 列挙された「関」の背景
   四 「逢坂の関」に対する作者の概念
   五 「関は」章段の言語遊戯
   六 おわりに

第六章 『枕草子』日記回想章段の読み説き
     ―『枕草子』「大進生昌が家に」章段の
      ストラテジー「作者の意図」伏線として
   一 はじめに
   二 コンテクスト
   三 門への拘り
   四 生昌兄の唐突な登場
   五 おわりに

第七章 『枕草子』日記回想章段の読み説き
     ―『故殿の御服のころ』章段のストラテジー
      「読み」の構築基軸として
   一 はじめに
   二 日記回想的章段の諸問題及び作者の意図した虚構
   三 「故殿の御服のころ」章段の問題点
   四 「故殿の御服のころ」章段のプロット
   五 「故殿の御服のころ」章段構造
   六 おわりに

第三部 『枕草子』の前と後
 第一章 紀貫之と仮名文文学ー女房文学の視点から
   一 はじめに
   二 『枕草子』『源氏物語』に描かれる貫之
   三 女房文学の場
   四 「語り」と貫之
   五 おわりに

 第二章 『土左日記』一月七日の記事をめぐって
   一 はじめに
   二 歌物語的構造
   三 言語遊戯
   四 歌論志向
   五 おわりに

 第三章 『土左日記』一月九日の記事をめぐって
   一 はじめに
   二 一月九日
   三 表現の対称性
   四 登場歌の役割とテクスト構成における言語遊戯
   五 記事の裏面
   六 おわりに

 第四章 地名・場が担うもの
      ―『大鏡』語りの場としての雲林院
   一 はじめに
   二 『大鏡』の作品プロット
   三 「雲林院」の風土
     一 離宮と寺院
     二 体制と非体制
     三 文学の生成・享受の土壌
   四 作品成立期のコンテクスト
   五 おわりに

 第五章 地名・場に受け継がれたもの―「明石」の回帰性
   一 はじめに
   二 畿内と外
   三 須磨と明石
   四 明石と住吉の神
   五 おわりに

 第六章 地名・言語遊戯の伝承と享受
      ―狂言と平安朝文学 「業平餅」に見る
       「伊勢物語」の享受
   一 はじめに―「狂言」と文学
   二 狂言における平安文学の享受のあり方―間狂言
   三 狂言における在原業平と『伊勢物語』享受
   四 狂言における模倣性と言語遊戯
   五 おわりに――狂言と「文学」

 第七章 文藝の可能性言語遊戯・言語表現に見る
      歌謡のストラテジー
   一 プロローグ狂言の特質
   二 狂言に見られる詩歌
   三 詩歌と狂言直接的享受
   四 歌と狂言間接的享受
   五 エピローグ提言に代えて
      ―歌謡のストラテジー「文藝の可能性」
初出一覧
結語にかえて――附祝言
索引



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