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歴史物語が物語であること

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歴史物語が物語であること

書名かな れきしものがたりがものがたりであること
著者(編者)名 辻 和良 著
著者(編者)名かな つじかずよし
ISBNコード 978-4-8386-0796-9
本体価格 9,000円
税込価格 9,900円
判型 A5判上製カバー装
頁数 258頁
刊行日 2024年8月14日
在庫 有り
歴史物語は史書ではなく、物語である。

問題意識の始まりは、文学史的に抵抗なく受け入れられている術語としての「歴史物語」への違和感であった。それは、「歴史」と「物語」という異質なものが、直接的に結び付けられている、一種安易な命名への違和感である。
本書では『大鏡』と『栄花物語』を取り上げ、歴史物語が「物語」であることを改めて問う。
  

 凡例

 序章「歴史」ではなく、「物語」であること
  一 「歴史」と「物語」
  二 「物語」への言及
  三 物語と事実

第一編 『大鏡』論
 第一章 歴史を〈カタル〉―物語史の中の『大鏡』―
  一 世継のひとり語り
  二 語りの〈場〉―記者の眼
  三 語りの〈場〉―今
  四 〈語り〉と歴史

 第二章 花山院の姿―『大鏡』の〈カタル〉方法―
  一 「内劣りの外めでた」
  二 花山院の〈文化〉的側面
  三 花山院の政治的側面

 第三章 〈道長隠し〉、粟田殿道兼
      ―『大鏡』の〈カタル〉方法―
  一 道兼の姿と忯子への情
  二 道兼と道綱、道隆、道長
  三 道兼一族
  四 〈道長隠し〉の方法

 第四章 『大鏡』「兼通伝」を考える
      ―「流布本系増補記事」の存在を契機として―
  一 『大鏡』、古本系と流布本系
  二 宇多紀の「流布本(八巻本)系増補記事」
      と雑々物語記事
  三 朱雀紀の「流布本(八巻本)系増補記事」
      と雑々物語記事
  四 「兼道伝」世継語りの様相
  五 侍語り(流布本系増補記事)の主題性

 第五章 『大鏡』における兼家像―流布本からの視線―
  一 兼家への批判―問題の所在
  二 流布本増補記事からの解釈―兼家像と「怪異」
  三 相関する評価―兼通と兼家
  四 兼通/兼家―摂関の画期

 第六章 侍語り「小一条院東宮退位事件」をめぐって
      ―いわゆる『大鏡』の「批判性」、
       の主題論的理解―
  一 「批判性」論について
  二 東宮退位事件までの経緯
     ―「小一条院東宮退位事件」の語り口
  三 小一条院と道長との対談
     ―「小一条院東宮退位事件」の語り口
  四 「権力者」道長と小一条院
  五 「侍語り」の位相

 第七章 『大鏡』は何を語っているか―時平と道真―
  一 時平と道真―創られる構図
  二 「道真怨霊」の祟りとは―「身代わり」時平
  三 『大鏡』の語る「時平/忠平」という対立構図
  四 『大鏡』の語る「忠平贔屓」の背景
  五 『大鏡』の語っていること

第二編 『栄花物語』論
 第一章 『栄花物語』の理論―「情趣性」にもとづく物語
  一 主題論的考察―「情趣性」を手掛かりに
  二 為平親王と安和事件との関係把握
  三 兼通の造型
  四 兼家の「別の顔」

 第二章 『栄花物語』、固有の〈歴史〉語り
      ―小一条院東宮退位をめぐる延子・顕光の恨み―
  一 小一条院敦明像―『栄花物語』と『大鏡』
  二 「恨み」の胚胎―小一条院東宮退位事件
  三 「恨み」の増幅
  四 遠景としての『大鏡』―物語表現史

 第三章 『栄花物語』の「彰子」像
       ―〈ミウチ〉に囲繞される彰子―
  一 称賛される「彰子」像
  二 敦康親王、立坊問題についての『栄花物語』の叙述
      ―彰子の「美徳」
  三 伊周側への彰子の対応
  四 彰子の役割と「ミウチ」
  五 新たな彰子像に向けて

 第四章 道長の眼
  一 権力者道隆
  二 高二位及び伊周兄弟
  三 道兼像から見えること
  四 道兼女及び伊周女の女房出仕―道長の姿

 第五章 「宮の君」形象の空白と転位
       ―『源氏物語』と『栄花物語』―
  一 はじめに
  二 語られず、見えなくされる「宮の君」の心情
  三 薫の〈歪み〉と「宮の君」像
  四 式部卿宮の姫の「出仕」―『栄花物語』の姫たち

 終章 付、初出一覧

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